『地獄おじさん』

やましん(テンパー)

『地獄おじさん』


 これは、あからさまな、フィクションです。


 また、倫理に反した内容であり、同様な内容の話しは、いくつも有るとはいえ、ご注意ください。主題は、オリジナリティーではなく、未来に対する、各種の不安であります。





 はは


 『さあ。早く寝ないと、地獄おじさんがくるよ。』



 むすこ


 『え〰️〰️、《ほんとはなかったこわくないはなし》をみたい。』 



 はは

 

 『ほんとはなかったのを見て、どうするの。さあ、もう、10時過ぎたよ。寝なさい。』



 外回りを、がさがさ歩く音がした。



はは

 

 『ほら。きた。』



むすこ


 『わああ❗ ねる。』



   むすこ、おふとんに飛び込む。



    ちち、帰る。



ちち


 『ばったあん。ぐわあ〰️。さけだ、さけ。』



はは


 『ごはんできてます。むすこ寝たから、静かにねがいます。』



ちち


 『ぬあにお〰️〰️。しごとしてきたんだ。今日も、ごうとう、ふたり、捕まえた。え〰️〰️っ。世のためだ。偉大なる、ちちだ。さけだ、さけ、もてこい。』



 ちゃぶ台の、白い、疲れたほこり避けを剥がす。 

 

 ごはん、みそしる、おしんこ、小さなしおじゃけ       




 


 ちち


 『なんだあ。これが、偉大な、おいらのゆうめしかあ。ぐわあ。』



  ちゃぶ台を、ひっくり返す。



はは


 『ありまあ。もったいない。これでも、精一杯なんだから。あなたの、お給料では。』



ちち


 『なにお〰️〰️〰️。まず、さけだ、さけ。《清酒大悪党》だ。ほかは、だめだ。ツキが落ちるからな。あと、ステーキ用意しろ。ビーフだ。ビーフ。こんもり、野菜も。』



はは


 『戦争になって以来、そんなもん、この世には、ふつう、ありません。わかってるでしょうに。これは、《国民夕飯セットA》です。いつも、いっしょでしょ。』



ちち (火を吹く。放射性物質の影響らしい。)


 『ぎわあ〰️〰️🔥。偉大なる、巡査長どのにさからうなあ。』



むすこ (おふとんのなかで、地獄おじさんの笛を握りしめる。)


 『くくくくく。かねて、用意した、この、笛を吹くか。どしよう。なやむ。なやむ。』



 どんぎらがっちゃあー‼️


  また、ちちが、はでに、暴れる音がした。




むすこ


 『ええい。ままよ。じごくおじさん、ヘルプみー。ピ〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️❗』


 


  じごくおじさん、玄関から、あらわる。




じごくおじさん


 『きさまあ。地獄落ちだあ。ばばん❕』



 ちち、倒れる。



 はは、かねてから準備していた、書状を、うやうやしく両手で掲げ、それを、かべに、張り付けた。


  《家庭内戦時下特別調理許可証。》



 地獄おじさんが、裏の土間を開けると、近所の人たちが、ぞろり、と、やって来て、動かない、ちちに、手を合わせる。


 

地獄おじさん


 『では、僭越ながら、戦時特別法による、夕食会を始めさせていただきます。あと、調理長に一任します。』



調理長 (街のレストランオーナー)


 『ならば、正式な依頼により、貴き調理を、行います。うんじゃあまいやらー、めん。うんじゃあまいやらー、めん。おそれながら、つつしみながら、うんじゃあまいやらー、めん。たっときいのち。つつしみながら。くいに、こお 、うんじゃあまいやらあ。こお。くいに、めん。らー、うんじゃあまいやらあ。めん。』



 床に、白い布を敷き詰める。



 やがて、ちちは、ステーキになり、街の人たちの、生きる糧となったのである。


 こんやも、空襲アラートが発出されて、このたっとき行事の中で、海の反対側の隣街は、原子雲の中に消滅した。


 濃い、放射性物質が、こんこんと降り注ぐなか、ステーキ・パーティーは、厳かに続いたのである。



      🥩 🔪 

 


 作者、ため息の海の中に、倒れ込む。


 


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『地獄おじさん』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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