ライラ・グローヴズへのインタビュー
様々な星を渡り歩き、夜明けの光景を時に地上から、時に宇宙から切り取る、風変りかつ孤独なアーティスト──ライラ・グローヴズ。自身の創作の動機について、彼女は語ったことがある。
「私の生まれ故郷はラートリーです。あの、『夜の惑星』の。私はラートリーの『日没』に立ち会った世代なのです。
故郷の『夜』は、私にとっては必ずしも喜ばしいものではありませんでした。太陽の巡りと共に暮らす時代遅れな生活こそ、私には好ましかったのです」
どこか遠い目をした彼女は故郷を見ているのだと、記者は思っただろう。ライラが見ていたのがたったひとりだなんて、誰も考えなかった。
「現代の人類にとっても、自然の巡りは遠いものになってしまいました。だから、私の作品も意味があるのではないかと思います。暗い宇宙に住まう人たちに、太陽が昇った瞬間の眩しさや嬉しさ、心強さ──そんなものを伝えたいのです。同じ空を見上げる者がいる、貴方はひとりではないのだと」
不特定多数ではなく、彼女の作品はたったひとりに宛てられていた。穏やかな微笑の影で、彼への思いがどれほど激しく渦巻いていたか。ライラは決して語らなかった。楽しかった日々だけではなく、彼女の旅立ちに際して交わした怒声や流した涙のこと。ふたりだけの約束のこと。
すべて、誰も知らなくて良いことだった。
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