episode No.12 ランキングと溺れる者


『教室』


ザワザワ 


「おはよ〜」


「おはよ。」


「ふっふっふ.....泰晴君......今日はなんの日か知っているかな?」


「ん.......?」


「なぜそこまでわからない.......」


「友人関係って知ってる?」


「私も同じような感じだけどね......」


「結局今日は何があるんだ?」


「地雷スルーがうまいねぇ!まぁそれはそうとして、今日はランキング発表の日だよ。」


「あれ?ランキングってどんな感じに発表されるっけ?」


「ええと......今日の朝読の時間ににパソコンで発表されるらしいよ。」


「はぇ〜じゃああと少しで発表されるのか〜」


「何位だと思う?」


「う〜ん......密幽は能力に若干の癖があるしCの3,4くらいじゃないか?」


「いや泰晴の方。」


「バカにしてんのか。」


「捻くれてるねぇ......」


「じゃあどういう心理が?」


「いや単純にコケにしたいから以外理由なんてある?」


「Fuck you!」


「とても有名校内の会話とは思えない!」


キーンコーンカーンコーン キンコーンカーンコーン


「あっ、朝読の時間だ。」


ザワザワ


「あれ?なんで朝読を始めないんだ?」(小声)


「今日は朝読は、ランキングの確認の時間確保の時間になるらしいよ。」


「凄い棒読みだな。」


「そりゃ説明文そのまま読んでるんだからそりゃそうでしょ。」


「それもそうか。さ〜て......どんな感じかな〜」


 カタカタカタ


 俺は学校のランキングページに自分と密幽の名前で検索していく。


(え〜と......佐堂泰晴.......ランキング圏外.......圏外!?まぁそりゃそうか.......で、異能力は.....無し.....ちゃんとしてるな....残念......)


(後密幽は.....Cランク1位.......1位?本当マジで?能力は.....薄影はくえい.....半径60メートル以内からは姿が見えなくなる。しかし、遠くから見える上、影などの直接物体が遮られる事によって生まれるものはちゃんと発生する......要するに使用者の周辺からは見えなくなるけど、遠くからは見えるし、影とかは見えるから、完全に場所がわからなくなる訳ではない、ってことだな。なるほど。)


「いや〜良かったですな密幽。」


「いや〜Cランクで1位はうれしいです。誠に有難うございました。」


「「笑笑笑」」


「いや〜お互い良い感じで良かったね。」


「良い感じ?」


「ほら!あれだよ!あれ!」


「新手の詐欺にありそうだな。あれあれ詐欺。」


「あれだよお祖父ちゃん!あれあれ。俺今あれが欲しいんだよ!」


「あぁ〜あれじゃな?あの薄い本で良いんじゃろ?」


「そうそう!それを公園まで持ってきて!俺の代理人が取りに行くから!」


「「笑笑笑」」


「これオレオレ詐欺と変わらなくね?」


「お祖父ちゃんお婆ちゃんが標的な詐欺=オレオレ詐欺っているのが刷り込まれてるからじゃない?」


「そんまマジの解説いらないんだわ.....」


「それはそうとSランクの順位も見てみようよ。」


「"それはそうと"使いすぎじゃないか?」


「友人関係初心者が工夫した言い回しをできるとでも?」


「.......誠にごめんなさい......」


「もう!さっさと見るよ!」


(変えたな.....)


「え〜と....7位は.....黒崎奈々美.....異能力は暗黒の......」



「パソコンを閉じて、前を向いてください。」


「あっ.......もう終わりか.....」


「無駄話をし過ぎたな。また後で見ようぜ。」


「そうだね。」


「はい、これから......」



〈昼休み〉『教室』


「さて、じゃあまとまった時間もできたし、続きを見ますか。」


「そうだね。え〜と......黒崎奈々美......異能力は.....」


「あっはっはっは!!!!」


「うるさ......なんだ.....?」


 うるさい方向に目線を向けると、なんかよくわからんやつが、周りを見下している?多分見下してる。目線的に。


「あっはっは!!!跪け雑魚共!俺はBランク5位の馬乱楽ばらんがく様だぞ!!!崇めたて祀るが良い!!!」


「あれ?本当に此処って国内屈指の名門神無月高校だよな?世紀末立珍犯児動物園じゃないよな?」


「そんなまさか.......」


「はぁ.......どうする?うるさくて集中できないだろうし......」


「う〜ん.......」


 そんな感じで、クラスの奴らが困っていると、


「あっ!良いこと思いついちゃった!」


「どうしたの泰晴?そんな気持ちが悪い口調で興奮して!」


「よし!呼んでくる!」


 俺は教室を飛び出し、B組のアイツを呼ぶ。


「すいません!性癖の玉手箱は居ますか?」


 俺が元気良く居るか聞くと、茶髪の男が対応してくれた。


「ん?あぁ...A組の。花蓮!佐堂が呼んでる!」


「ありがとう。ってあれ?なんで名前知ってるんだ?関わったこと無いよな?」


「なんでそんなこと聞くんだ......?」


「いや、なんとなく疑問に思ったから。」


「はぁ.....あれだ、能測戦でゴキブリホイホイ使ったやつだろ。割と話題になってたぞ。迷惑系みたいな奴って事で。」


「そんな印象持たれてたんだ.....まぁしたことがしたことだし、しょうがいないか。」


「おまたせ。って、泰晴か......なんの用だい?」


「ちょっと頼みたいことがあって。ちょっと来てくれないか?」


「?別に良いけど......」


 俺は花蓮を連れ、教室に戻った。


『A組教室』



「戻ったぞ〜」


「花蓮ちゃん連れてきたんだ。.......おっと?」


 密幽は何かを察したようだ。


「多分それであってると思うよ。」


「流石に可愛そうじゃない.......?」


「ねぇ、結局僕は何をすれば良いの?あのクソ坊主がうるさいから早く戻りたいんだけど。」


「花蓮の能力って、視界に入った状態で対象の体に当たったら、強烈な痛みが与えられるってやつだよね。」


「まぁ大体あってるけど.....あっ......そういうことね.......」


「やってくれるか?」


「まぁできるけど......」


「頼む!お礼は必ずするから。」


「なんでそこまで......」


「あんなキチ〇〇と同じクラスと言う事実が個人的に許せないから。」


「プライド高くない?」


「早くやってくれ。そろそろ大きめの騒ぎが起こってもおかしくないから。」


「はいはい。お〜い!!!Bランク5位のイケメンさ〜んこっち向いて〜」キャピキャピ


 黒い人型の影発生


「ええ〜な〜に〜っっえ?」デレデレ からの 困惑


 黒い影がバカの体をすり抜ける。


「うぎゃああああああああああああ!!!!!!!」


「.........うるさ.........」


 あまりのうるささに思わず耳を塞ぐ。ただこれで作戦成功のはず。


「あぅ........がが.......」ジョボジョボ


「キャー!!!」


「おっと.......」


「やり過ぎたな......」小声


「まさか失っk........」グフゥ


「うるさい。俺らが犯人だってバレたら面倒だろ。普通に声出すな.....」(小声)


ザワザワ


「先生呼べ!コイツの処理してくれるから!」


 教室が騒がしくなってきた。これでやっと落ち着いて見ることが出来る、と思っていたんだけどな.......


「急に失禁するなんておかしくない?」


「確かに。そういう能力者の仕業かもしれない一旦みんな教室出よう。」


「あれ?」


 結局その後、バカの突然の失禁が影響で、割と大きな騒ぎになってしまった。なんでこうなるかな.......まぁ花蓮の能力を舐めてた俺のせいなんだけど........



〈放課後〉(視点変更)


『E倉庫』


「なぁ!俺も仲間に入れてくれよ!」


 学校が終わった俺は半グレグループへの加入を申し出ている。俺は何がなんだかわからないが失禁し、良からぬ噂をたてられてしまった。このグループの代表3人がいま俺の周りにいる。俺はアイツラを見返すためにここで成り上がって復讐するぜ。


「ふ〜ん。ここはお前みたいなボンボンが来るとこじゃねぇよ。」


「さっさと帰れ!」


「待てお前ら。」


「なんだよリーダー!」


 リーダー格の奴が取り巻きたちを止めた。


「一応ランクBはあるから最低限戦力にはなるだろ。」


「まぁそうすけど.........」


「これからよろしく頼むよ馬乱くん。」


「はい!お願いします。」


「ところで、新入りは俺たちに毎月十万支払う義務があるんだけど。」


「はい!勿論です!」


(ケッケッケwwwバカなやつだぜ。)


(これでまた1つカモゲットだぜ。)


「はい〜失礼〜」


「あ?」


 ボイチェンのような声の方向に向くと、銀髪ツインテで、グラサンマスクにウサギのパーカーに大きな鎌を持ったヤツが俺たちの方に向かってきていた。


「誰だお前?」


「お〜元気だね〜お金持ってる分だけちょうだ〜い。」


 どうやらメンバーじゃないようだ。ラリってる様な言動のやつはどんどんコッチに来ている。


「おいお前ら。やれ。」


「へいへい。」ガチャッ


 周りの取り巻きは銃を取り出し変な奴の方に向けた。


カチャカチャ カチャカチャ


「ダメだよ〜そんな物向けたら〜」


「なんだ!?銃が撃てない......」


「問題です!貴方達は今までどんな悪行をしてきたでしょう?」


「どけ!お前ら!」


 ブヴォォン


 リーダー格は両手から恐ろしい程の爆炎を出した。


(す、すげぇ......)


 その場にいた誰もがやったと思っていた。しかし、


シュン


「ダメだよ〜詐欺師さ〜ん。危ないだろ〜?」


「なんだコイツ.......」


「お、おい!逃げるぞ!」


 パッと見でわかる程の絶望的な差.......どうすれば良いんだ......そう考えているうちに


「到着〜それじゃあ〜」


 奴は大きな鎌を前に出し......そして......


 スッドンスッドンスッ バタバタバタ


 空気を切る大きな音と共に飛び散った血と首が辺りに落ちた。


「あっ.....うあ......」ジョボジョボジョボ


 俺は恐怖のあまり、また失禁してしまった。


「う〜ん.....詐欺してるくせにしょっぱいな〜」


 そう言い奴は死体のポッケを漁っている。


(逃げるなら今しかない)


ドンドンドン


 俺は全力疾走で逃げて行った。


「お〜い!学生なんだから危ない事すんなよ〜!!!」


 そんなことが聞こえた気がする......ただ、その時の俺はそれどころじゃ無かった......
























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異能力がある世界で君達はどう生きる? 赤はな @kagemurashiei

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