第2話 yuuzyou

そう居酒屋でいうと、友人は立ち上がった。

「みんな、インフラのありがたみを分かっていない」

そんな友人の目をみて、自分は悟ってしまった。


本部に入電。あいつはダメです。本部の予想どおり、地球人に危害を加えようとしています。

 そうか。

 仕事終わりにはよくこの居酒屋で仕事の愚痴を言いあった。

 向こうは俺が宇宙人であることを知らない。

 いわゆるスパイである。


 危害を加える宇宙人を罰するためにある。地球の考え方や文化に強い違和感がある。それは外から来た自分たちならではだ。だから、この友人の考え方も理解できる。この星は不条理すぎる。ただ、だからと言ってこの星の考え方を否定してはいけない。

宇宙人の2世が差別を受けているからだ。

 宇宙人・地球人条約が締結されて早20年。地球という鎖国ならぬ、『鎖星』は宇宙に開かれた。

 友だちを手に掛けたくはない。色々な思い出がある。


 この種類の宇宙人は。レモンを口にすると死ぬ。だから、あえて『唐揚げにレモンかける?』などは訊かない。ただ、そうも聴かないでレモンをかける輩は、十中八九、反宇宙人体制の人間だ。

 奴がトイレに行っている間、居酒屋で出た唐揚げに、俺は手を震わせながら、レモンを絞ってかけた。

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宇宙人・電気工事士の夢 @en24

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