第3話

一閃。私はそのとき衝撃的な光景を見たのであった───。

6時間前ぐらいだろうか。私は新緑が芽吹く頃に、毎年恒例の新入生合宿に参加させられていた。どうやら、クラスがもっと仲良くなるためにしているらしい。生憎私は人付き合いが得意ではないので、なるべく目立たないようにしようとしていた。だが、首席という肩書きがそうはさせてくれない。私が主席だからといって、次々とクラスメイトから話しかけてこられるのだ。私はあまり寄りついてほしくないので、塩対応をすることにした。でも、間違いだった。塩対応が逆にかっこいいと評判になってしまい、更に同級生が寄りつく原因となってしまったのだ。こちらからしたら、クラスメイトに寄りつかないようにするためのものが、クラスメイトが寄りつく原因になってしまっているのだからたまったものではない。

「色々な人に話しかけられて大変そうだね。」

「うん、本当に大変だよ。人と関わるの少し苦手だけど、首席という肩書きがあるせいで、色々な人に話しかけられるのだから。」

「そうだよね。まあ、頑張って。」

山田と私はそのような会話をした。

合宿の最初のプログラムが始まった。簡単に言うとハイキングだ。6人の班に分かれて、山 ハイキングをして、たどり着いた場所で授業のようなものを受ける感じだ。ちなみに迷わないように一班一人先生がいるらしい。私は山田と同じ班で、付き添いの先生は月下先生だった。

月下先生は、風景を事細かに紹介しながら私たちを目的地まで連れて行ってくれた。私は、自然を堪能しながら前々から気になっていることの情報を得るために、そちらの方にも目を向けていた。だが、何も変わったことは起きなかった。

「何か変わったことでもあるの?」

先生が私に対してそう言った。

「いえ、何も変わったことはないです。」

「なら良かった。」

(やっぱり見てたの気づかれてたか...。さすが先生だ。)

私はそう思った。

一方月下はというと、

(花上君が注視しているということは、黒魔がいるかもしれない)

と思っていたらしい。

両者とも見事なまでに思い違いをしていたから、笑ってあげよう。

そうしているうちに、目的地についた。月下先生は、いつも通り分かりやすく、丁寧に教えていた。そして、いつも通り為になる内容だった。これを毎授業してくるのだ。本当に月下先生は素晴らしいと思う。

あっという間に授業は終わり、宿泊するところに帰ることとなった。帰りは、今来た道を行きのときと同じ班員と先生で歩くらしい。

半分ぐらい歩いた頃だった。月下先生が何か異変を察知して、剣を構えた。そうされたときだった。突然何かが私たちを襲ってきたのだ───。

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花が降る頃に さしみん @skyssmn

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