冬と僕
空気すらも活動をやめてしまったような朝、四時三十分。冬眠中のヒグマの寝床に迷い込んでしまった時と同じ静寂の中では一つ一つの音が粒立ち、僕のまだ鈍い頭を容赦なく殴ってくる。湯気が立つコーヒー。家の前を通り過ぎる救急車。フローリングをさする乾いた足の裏。身体の縁を伝うシャワー。脚を蹴飛ばされてずれるテーブル。一つ一つの音が結露でぼやけた窓を丁寧に拭い、五時、僕は昨日の残りの鍋を食べる。ガスコンロの火は何かを訴えるようにしきりに揺らめき、そして消えた。
四つの季節 森岡 亮 @morioka_ryo
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