四つの季節

森岡 亮

秋と君

 二つの足音が心地よく耳に響いてくる。それはシャクシャクと音を立て少しずれたり揃ったりしながら秋の空に溶けた。秋風が頬を撫でる。君は立ち止まり、健康的で人懐こい大型犬のようにのんびりと全身で風を受け止め、小さく身を震わせた。空に溶けた音が飽和量を超えてはじける。君は微笑んだ。横顔は見なかったので確かではないが、微笑んだ。音は再び秋の空に溶けていった。

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