愛の答え~ちょっぴり辛いお弁当~
たから聖
第1話 その日は突然に……。
『あなた!!やめてぇ~!殴らないで!』
『うるせぇ!!テメェらのせいで仕事が上手くいかねーじゃねぇか?!』
『止めろ!母さんに何するんだ!』
『何ぉ?!
『母さん殴るなら、俺を殴れよ!』
『
ガシャーーーーーーーン!!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
母さんと父さんが離婚したのは
働きづめだったな。母さんが、
そんな中、貧しくても作ってくれたお弁当の味は……
ちょっぴり涙の味がした。そして
長い眠りに付いた。
あれから、5年が経つ。
親父もアルコール中毒で病院へ
運ばれたが。俺は無視した。
今でも思う。
『母さんは、幸せだったか?』
と…………。
社会人と言えば、立派に育ったかも知れない、だけど。何処かで
幸せになる事への恐怖が彼女が出来るたびに、付きまとう。
いつも別れ際に言われるんだ。
『あなたは前を見ようとしてない!』
そうかもな……?前を向いて、
どう生きていけば。その幸せとやらを見れるんだ!
俺は、諦めていた。全ての元凶は親父にあるんだ!
俺は悪くない!
…………と。
いつもの様に……お昼はコンビニのおにぎりを1つだけ。
生きる気力さえわかないけど、
とりあえず食っとくか?的なノリで、、、
公園で、おにぎりを食べていると
同じ会社の受付嬢が数人と
キャーキャーと話ながら過ぎ去っていく。
平和で良いな?あんたら
俺は、どんどんと卑屈な性格に
変わっていった。
次の日の昼休みも、コンビニのおにぎりを1個選ぶ。
いつも、梅干しだ。梅干しは母さんの味がするから。
パッケージを開けて、口の中に入れようとしたときに……誰かが
俺の名前を呼ぶのが耳に入った。
『
『食べるのちょっと待って~!』
俺は、声のする方向を向くと、
『??!』
『はぁ、はぁ。間に合ったかしら?』
そこには息を切らせて受付嬢の
俺は不思議に思いながらも、
『なんか用?どうかした?』
『食べて??いつもおにぎりばかり。栄養取らなきゃ。』
『え?俺に?は?』
『良いから。食べて??ほっとけないの!危なっかしくて💦』
『あ……あり、がと。じゃあ。
いただきます。』
去って行った。
『そのお弁当箱ごと、あげるから。またね~!』
久しぶりの手作りのお弁当、、、。
俺は、悪くないと思いながらもフタを開けてみると……?
そこには、可愛らしいタコさん
ウインナーや、タマゴ焼きも
ハートマークに作ってあった。
ごはんの所は、クマさんが立体的に作ってあり、食べるのが
もったいないほどだ。俺は……
何となく、両手を合わさずには
いられなかった。
『いただきます!』
先ずは、タコさんウインナーを
口に入れて頬張る。
『ん!美味い!』
そして、タマゴ焼きも食べてみる。
『ん?……辛い!辛いぞ、あはは。』
そういえば。
慣れないお弁当作りに奮闘している様子を、
俺は……思い浮かべた。
塩っ辛いタマゴ焼きは、亡き母親を思い出さずにはいられなかった。
俺は……食べ進めていくうちに
ポツン、ポツンと涙が出てきた。
今まで、卑屈になっていた俺は……急に歴代の彼女たちに申し訳なく思い始めた。
食べ終わる頃には…………
青空を見上げてすがすがしい
気持ちになっていた。
また手を合わせた。
『美味しかったです。
ごちそうさまです。』
昼休みが終わり……受付の準備を始めた
御礼を伝えると…………。
『御礼は、今度の日曜日に
ドライブ連れてって?ふふ。』
俺は……すかさずに
『また、弁当作ってくれないか?』
と頼むと……
イタズラっぽく微笑み
『それはどうでしょう~~?』
思わず俺は……可愛らしい彼女に
笑みをこぼさずには
いられなかった。
HAPPY END
愛の答え~ちょっぴり辛いお弁当~ たから聖 @08061012
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