最終章 エピローグ
「そろそろ閉店の時間です」
店員さんに声を掛けられる。
時計を見るともう0時前。
繁華街ではない場所にある居酒屋なので、朝まで開いているお店ではないらしい。
「じゃあ店出ようか」
「今日はめっちゃ語りましたねー!ケンさんいつもより早口でキモかったですよ」
「ありがとう!楽しかったわ!」
俺は素直に2人にお礼を言う。
「いやいやこちらこそ!よっさんにプレゼンするていで、いつも2人で喋ってるヲタトークしてただけですから」
「でもヨシハルがおるだけで新鮮やったわ。まさかヨシハルとアニメの話をする日が来るとか思わなかった」
ダラダラと喋りながらお会計を済ませて、店の外に出る。
「あーもっと話したかったですね!自分のベストアニメで打順とか組めるのになー」
知樹はまだまだ話足りないみたいだ。
でも俺もまだまだ聞きたい話もあるし、自分から喋りたい話もある。
「今日は聞き専だったけど、俺もミオちゃんの魅力とか語りたかったわ」
「じゃあ、駅前にあるバーとか行く?たしか遅くまでやってたはず」
ケンイチが提案する。
しかし、ケンイチが2件目・・・0時を越えて俺達に付き合うのは珍しい。
「ケンさん結婚してからオールしなくなったじゃないですか?今日はいいんですか?」
知樹がケンイチに聞いた。
「今日はヨシハルが浮気されて地元帰ってきたから飲みに行くってさおりに言うて出てきてるからな」
「あー」
「あー」
そんな話もあったな・・・
「ヨシハルが泣きながら飲んでベロベロで動かれへんって言うたら、いけるやろ」
その場合、俺の尊厳は大丈夫ですかね?
「じゃあ延長戦いきましょか!」
知樹が先陣を切って駅前に向かって歩きだす。
「次は各々のベストアニメを語っていいんだっけ?」
ケンイチがそれに続く。
ベストアニメ・・・俺はまだまだアニメを見た数は少ないが『けいおんぶ!』を見た回数だけなら2人にも負けていないと思う。
そう愛する気持ちなら上回っているはず。
「よっさんも行きますよ!」
少し遅れていた俺に知樹が声を掛けた。
俺は小走りで2人に追いつく。
2人はどんなアニメの話をしてくれるんだろうか?俺は2人に自分の好きなアニメの事をどれくらい伝える事が出来るんだろうか?
楽しくてニヤけてしまう。
俺のヲタクライフはまだ始まったばかりだ。
ヲタクはじめました 温水 貫太郎 @nuku2san
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