危険度:測定不能 ファイブカウントダウン編

遅延式かめたろう

第1話 カウントダウン_5

 黒髪ストレートにブレザーの制服という、この世界では異様過ぎる見た目。

 肌は黄色肌という、なんとも中途半端な見た目である。本人が普段から自分自身を最悪な状態にするよう生活しているらしいが、見た目は常に可憐である。

 自分に期待をし過ぎた少女は、今日も絶望の淵を歩くのであった。


「……ここだった気がする」


 今日、砂漠をそのままの服装で歩く少女。マジョリティ・フーは、ある人を探しにここまでやって来た。

 街に名前があったらしいが、どうせ消える物を覚える意味は無いとすぐに記憶から消す。

 場所はフィノーマルルド・人類の大地だったものヒューマンタウンの、最南端にあるただ広い砂漠。

 どうせ常に更新される地図も、すぐに使えなくなると分かるとすぐに右手から離す。


 前の街から歩き始めて、ざっと5日はかかっているだろうか。

 土よりもはるかに軽い砂が、ぶわっとこちらの顔に向けて走って来る。

 流石は砂漠、常に熱気と熱風がやって来る。


(ゴーグルでも買った方が良かっただろうか?)


 そう言えば、ここに来る途中で出会った商人がオススメして来たっけと思い出す。

 その人によると、この先は砂漠があるので肌を守る物から目を守るゴーグルまで。

 なんだか色々おススメされたが、何一つにマジョリティ・フー。


 いくら丈夫が売りでもあったりする危険度:測定不能ハザードマックスだが、同じ景色が続くのではどうも飽きてしまう。

 またある者なら、こんなものでさえ何かの素材だと騒ぎ出し、そしてじっくり観測しだす。

 それそれは変人に近いものだが……


を思い出すなんて……ふぅ、あと少しと言う所か?)


 丘の上に上がると、ようやく目的の街が見えて来た。

 砂漠の中に、ポツンとある街。近くにオアシスといった水源が見当たらず、畑ですら出来なさそうな土地に住むとは。

 

「……何とも"人間"も丈夫な生き物のこと」


「へぇ、自分自身で探している生き物。だと言うのに?」


 砂漠の場所でが喋り合う。

 聞き分けられる程トーンが異なり、独特の癖も違う。

 





 ……同じ口から発せられただというのに?






「……否定は出来ない。でも、の求める人はここにいる」


「んー! 誰の言葉だっけ?」


 またが聞こえた。

 今度はホシのように明るく、最初から勢いのあるテンションの高い


「……ドール。導き型AI・ドール」


 最初から発せられている、まるでと言いそうな……「魂」と書き「声」と読む。

 今度のは重いのを諦めたような低い声に、何故か最初に空白があるのは躊躇いか。

 唇の中に重りでもあるように、感じながら一つ一つ答えていく。


「……彼女がいる場所」


 今回の街に行くきっかけをくれた、水色ワンピースにフリルの付いた白のエプロンを付けたアリス風の女の子。

 と言っても、本人が「モデルとなった作品」を嫌っている為、頭の中で思い出して止めておく。


「んー! 次の場所までどのくらい?」


「へぇ、計算出来ないの? 13柱を3人組に分けた内のクラス2なのに?」


 口から放たれる各こえがまた争う。

 また、というのはいつものことであるからだ。


 因みに、13柱を3人組に分けた内のクラス2であるのは事実である。

 このクラスというのは、彼女をこの街に動かすきっかけである導き型AI・ドールで例えるとクラス4。

 つまり、導き型AI・ドールは彼女よりも




 脅威



 

 がある存在とされる。


「……はぁ、ばかばかしい」


 論争を強制的に止めるように、重りを感じている諦め少女は口を閉じて足を動かしていく。

 恐らく、この距離と今までの速さからして30分ぐらいだろうか。

 不死身になると時間の感覚が狂うらしいが、どうでもいいという一言で切り捨てる。


 マジョリティ・フーとは、どこまでいっても無関心である。

 興味の無さと言えば、13柱もいる危険度:測定不能ハザードマックスの各脅威と同じようなものだ。


 砂漠をオレンジ色に照らす疑似太陽が眩しい。

 空にあるのは、丸い形で輝く恒星が二つ。もう片方が太陽なのかはどうも怪しいが、それともう一つの方は明らかに小さい。


「……地面が揺れて見える」


 蜃気楼というのは、揺れている熱から生まれる現象。

 ……と、どこかのお馬鹿さんが主張していたのを思い出す。

 その後の彼は、どうなったのかは「ノウレックスのみぞ知る」らしいが。


「へぇ、汗を一つもかいてないのに? この場に及んで自分は暑いですと主張する気?」


 否定をメインで主張するは、相変わらずの毒舌だった。

 確かに汗の一つでも流しても問題が無さそうな熱気を、何一つで守っていないスカート下の足だけでなく全身で感じる。

 なのに、顔と言えば涼しげでもありそうものだ。


「んー! この地図も日焼けして来た、まぁ真っ直ぐ歩けば大丈夫か」


「……空が飛べたら、いいのにな」



 そのまま歩いていくと、矢印の形をした木の板を見つける。

 あと、空を飛べる危険度:測定不能ハザードマックスが羨ましいと思った。


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