第30話「人間として…龍神として…」

勇一はゴルゴディウスに全ての宝玉を奪われ、ドライガーへの変身能力を失った。


「フッフッフッ……これから始まるのは真の暗黒の時代だ……」

そう言い残しゴルゴディウスとアスモデウスは姿を消した。


その後、勇一は気を失った。


そこへ一台のパトカーが到着した。

火村が降りてきた。

「遅かったか……勇一さん!?」

火村は勇一に駆け寄った。

「火村さん……?」

勇一は気が付いた。

「大丈夫ですか?」

「ええ……でも……ドライガーの力を奪われました……」

「何ですって!?……とにかく本庁に戻りましょう……」

「そうですね……」


勇一は起き上がりバイクに股がる。

「勇一さん、本当に大丈夫ですか?」

「ええ、問題ありません」

「そうですか?でも、無理はしないで下さい」

「ええ……あっ、そうだ。俺一回家に戻ります。何かアイツらから力を取り戻す方法がないか探してみます」

「そうですか……では、お気をつけて」


こうして、勇一は家に帰り火村は警視庁に戻る事にした。


-龍宝神社-


勇一から話を聞き正信は驚いた。

「何っ!?奴らに力を奪われた!?」

「うん……」

「ちょっと……大丈夫なの?」

日菜乃も心配している。

「いや……正直……かなりヤバいと思う……戦う術が無いし……」

勇一も流石に楽観的にはなれなかった。

「とにかく、何か対策法が無いか書物を読んで調べてみよう」

そう言って正信は書物を探しに行った。

勇一、日菜乃、篤史も手伝い書物を探る事にした。

何冊も……何冊も書物を読み漁ったが、これと言った解決策は見つけられなかった。


その頃、警視庁でも火村が葛城達に勇一の力が奪われた事を説明していた。

「そうか……勇一君が戦えないとなると……流石に邪神を相手にするのは危険だな……」

葛城も頭を悩ませていた。

「守君に戻って来て貰ったらどうだ?少しでも、戦力を増やせる」

牧田がそう提案したが……。

「いえ……守君は守君で向こうで大変でしょうから……それは難しいかと……」

「守君が言っていた例の組織か……」

そう、守は今も以前現れたギガークの組織を追っていた。

「兎に角我々は今出来る事をやりましょう」

「そうだな……」

刑事達は準備を再開した。


その頃、ゴルゴディウスは……。

体内に取り込んだ宝玉の反発を受けて苦しんでいた。

「ぐぉぉぉぉぉ……!?まだ……抵抗するか……龍神め……」

そこへアスモデウスがやって来る。

「ゴルゴディウス様……あなたの苦しみを取り払う為に……一刻も早く暗黒の時代を築きましょう」

そう言うと、アスモデウスは新たな邪神獣を呼び出した。

大きな鋏を持った人型のカニの邪神獣……クラブクリーチャーが出現。

「行け……」

アスモデウスの命令でクラブクリーチャーが街へ出る。

「集めましょう……人々の負の感情を……」

そう言ってアスモデウスも姿を消した。


クラブクリーチャーは人間が居る千葉県の南房総市に出現した。


警視庁にも連絡が入る。

出現したクリーチャーには地元の警察署が対応するが、特殊犯罪対策班の火村は出動する。

火村は一応勇一に連絡。


「はい!……わかりました」

勇一も出掛ける準備をする。

「ねぇ……まさか……行くの?」

日菜乃が心配そうに尋ねる。

「うん……行くよ」

「だって……変身も出来ないのに!?」

「確かに……今の俺に何が出来るかはわからない……でも……龍神の力を受け継いだ以上は俺にも責任がある……だから行ってくる」

勇一はバイクに股がり出発する。


正信も勇一を見送る。

「勇一……死ぬなよ……必ず帰って来い……」


-千葉県南房総市のとある町-

クラブクリーチャーは人々を襲っていた。

そこに駆けつけた地元の警察が対応する。

直ぐに交戦に入りクラブクリーチャーに向けて銃を一斉に撃つ。

しかし、クラブクリーチャーは微動だにせず、警察隊に反撃する。


こちらでも何人もの警察官が犠牲となったが、市民を守る為に必死に戦っていた。


そして、クラブクリーチャーは小学校の体育館に迫っていた。


そこには東京から避難してきた人達が大勢居て、その中には香織と母親の姿もあった。

「お母さん……」

「大丈夫……きっと大丈夫よ……」

不安がる香織を母は励ましていた。


そして遂にクラブクリーチャーは警官隊を全滅させた。

クラブクリーチャーは体育館の中の人間を襲おうとしていた……。


しかし、そこへ空から自衛隊のヘリが到着。

上空からマシンガンでクラブクリーチャーを攻撃する。


「邪魔だ……」

アスモデウスが怪人体に変身し、光弾をヘリに向けて撃つ。

ヘリは撃墜され、今度こそ終わりかと思われたその時!


パトカーと勇一のバイクが到着。

パトカーから火村が降りる。

「勇一さんは体育館の中の人達を避難させて下さい!」

「わかりました!」

火村は『変身』。

GTN-1登場。

GTN-1がクラブクリーチャーと戦い体育館から離す。

「今です!」

その間に勇一は体育館の入口を開ける。

「皆さん!!ここは危険です!逃げて下さい!!」

勇一の一声で人々は避難を始めた。

「勇一!?」

「香織!?」

勇一も香織に気付いて駆け寄る。

「どうしてここに居るんだ?」

「東京から避難した人達は分かれて学校の体育館や公民館に避難してるの」

「そうか……兎に角無事で良かった……早く逃げろ!」

「うん……」

しかし、クラブクリーチャーはGTN-1を払い除けて避難中の人達に襲い掛かる。


「くっ……」

悔しそうな表情を浮かべる勇一……。

「……勇一は……戦わないの?」

「え?ああ……今、敵に力を奪われて……変身出来ないんだ……」

「そんな!?」

GTN-1は再びクラブクリーチャーを避難してる人々から引き離す。

恐怖に怯えパニックになる人々……。

パニックになった男性の1人が、香織を突き飛ばす。

「痛っ!?」

「香織!?」

心配して母が駆け寄る。

「大丈夫か?」

勇一の香織を心配する。

「うん……」

「クソッ……俺が戦えれば……こんな事には……」


そこにゴルゴディウスが現れる。

「何っ!?アイツ……」

突如目の前に現れた邪神に、人々は更にパニックに陥る。

「フッフッフ……ただの人間共……今は貴様らに用はない……龍神の器よ……貴様を殺せば龍神の帰る所は無くなる……だから死んで貰うぞ……」

ゴルゴディウスは人々には目も暮れず真っ直ぐ勇一を狙う……。

「くっ……」

後退りする勇一……。

「勇一戦って!!」

「え?」

「勇一は今まで龍神として……いや……ドライガーとして戦って来たじゃない!!力を奪われたからってその誇りまで失わないで!!今勇一が頑張れば、きっと龍神の力は戻って来るから!!」

香織の必死の訴えは勇一の心を突き動かした。

「……そうだ……俺は……人間として……龍神として……邪神に勝つ!!」

勇一は拳を握り締める。

「うわぁぁぁぁぁ!!」

勇一はゴルゴディウスに殴り掛かる。

だが、人間の力ではゴルゴディウスに触れる事すら出来ない。

「フンッ……無駄だ……死ね!!」

ゴルゴディウスの反撃…。

「させるか!!」

GTN-1が『Gランチャー』でゴルゴディウスに攻撃。

「ぐっ……無駄な事を……」

GTN-1の攻撃は効かなかった。

しかし、その一瞬の隙にゴルゴディウスが吸収した『龍の宝玉』が最後の抵抗をする。

「ぐぉぉぉぉぉ……!?おのれ……龍神め……!?」

「今だ!!」

そして、もう一度勇一がゴルゴディウスに殴り掛かる。

「うわぁぁぁぁぁ!!」

勇一の拳はゴルゴディウスの左頬に入る。

「ぐっ!?」

そして、吸収されていた『龍の宝玉』が放出され、勇一の手に戻る。

「やった!!」

火村は喜んだ。

しかし、クラブクリーチャーがGTN-1に攻撃を仕掛ける。

「ぐぁっ!?」

「火村さん!?待ってて下さい!!」

勇一は『ドラゴニッククロー』を装着し、『変身』。

龍神ドライガーが『フォースドラゴン』の姿で登場。

そして、龍神ドライガーの登場に人々は歓喜した。


ドライガーは『ドラゴニックドライブ』でクラブクリーチャーを一撃で倒した。


「ゴルゴディウス!次はお前だ!!」

ドライガーは『雷の宝玉』を掲げ『ライトニングドラゴン』にチェンジ。

ドライガーは『ライトニングソード』を手に必殺技『ライトニングブレイク』を発動。

ゴルゴディウスを攻撃した。

「ぐわぁぁぁぁぁ!?」


勝ったか……?


続く……。

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