第14話「死線」
ドライガーはスコーピオンクリーチャーに毒針を打たれ倒れてしまった。
更にVソルジャーの寺本はドライガーの正体を知った。
一方、ルシフェルに足止めを喰らっていた火村はGTN-1として戦うがこちらも倒されてしまう。
勇一の元に駆け寄った日菜乃に寺本が近付いた。
「日菜乃ちゃん……だよな?」
「えっ……?寺本……さん?」
この2人顔見知りだったようだ。
「どうして日菜乃ちゃんがここに?それに……その男……」
「それは……お姉ちゃんから聞いてませんか?」
「いや……俺は何も……」
「あっ、それより手を貸して貰えませんか?この人を病院に……」
「あっ、ああ……そうだな……」
日菜乃は寺本の手を借り勇一を病院に運ぶ。
勇一はそのまま集中治療室に運ばれた。
「でも驚いた……。あの戦ってたのが寺本さんだったなんて……」
日菜乃がそう話し掛けると……。
「ああ……自ら志願したんだ……。もう誰も、美咲の様な目には逢わせたくないと思って……」
「私も……お姉ちゃんの意思を継いだんです」
寺本の恋人だった美咲は日菜乃の死んだ姉だった。
美咲は3年前に、ゲシェードに殺害された被害者の一人だった。
当時、自衛隊はゲシェードに対抗出来る術を持っておらず、美咲や他の被害者と共に多くの殉職者が出ていた。
3年前は寺本もまだ大学生で自衛隊に入っていなかったが、ゲシェードに美咲を殺された事がきっかけで人外の敵による悲しみを生まない為に自衛隊に入隊した。
そして日菜乃も、龍の巫女として修行を積んでいた姉に代わりいつか復活するであろう龍神と共に戦う龍の巫女としての修行を積んだ。
2人はこの3年間、美咲の死がきっかけで自分の道を歩んでいた。
日菜乃から連絡を受けた正信が病院にやって来た。
「日菜乃ちゃん……勇一は?」
「あっ……今治療中です」
寺本は龍神について聞こうと思ったが、今はそれどころではないと思い聞くのを止めた。
「じゃあ、日菜乃ちゃん。俺はこれで……」
「あっ、ありがとうございました。寺本さん、どこ行くんですか?」
「ああ……奴を探さないと……」
寺本はスコーピオンクリーチャーを探しに行った。
集中治療室から1人の医師が出てきた。
「あっ、先生、息子は?」
医師がマスクを外す。
「お父様ですか?この子から事情は聞きましたが、息子さんの体に入った毒はサソリの毒のようです……ただ……サソリの毒の血清はサソリの居ない日本には少ない……色々な病院に確認してみますが、見つかるかどうか……」
「そんな……」
サソリの居ない日本では血清を入手するのは難しかった。
サソリが生息している国なら血清の用意もあるだろうが、それを取り寄せるには時間がかかる。
「せめて、同じ毒を入手出来れば血清も作れるんですが……」
医師のその言葉に日菜乃は気付いた。
「同じ毒……そうだ!」
日菜乃は病院を出て電話を掛ける。
電話の相手は寺本、しかし寺本は車を運転中の為、電話に出ない。
仕方なく、日菜乃は町に出てスコーピオンクリーチャーを探す事に。
その頃、火村も病院に運ばれ眠っていた。
かなりのダメージを受けていた。
小田は火村をこのまま戦わせ続けるのは危険と判断し、葛城に報告。
葛城は悩んでいた。
藤波博士に相談してもこれ以上の強化は難しいと言われている。
しかし、誰かが戦わなければ市民の安全は守れない。
そして、部下の警察官を危険に晒す位なら自ら戦おうと決断。
葛城はどこかへ出掛けた。
その頃、勇一は夢を見ていた。
夢の中で4体の龍が現れる。
「人間よ……我ら4体の力を使えば邪神獣ごとき相手ではない」
そう言うのは火の龍。
「でも……皆の力を同時に使ったらダメージが……」
勇一はそう答える。
「確かに……そもそも人間が我らの力を使う事自体が間違っている」
そう言うのは水の龍。
「人間の体で我らの力を使うんだ。その反動も当然だ」
そう言うのは風の龍。
「だったらどうしろと?」
勇一が問う。
「先代の龍神となった人間は龍の巫女の霊力で我らの力を抑えていた。ただ、あの娘にそこまでの霊力があるかはわからん……」
そう言うのは土の龍。
「つまり……日菜乃が皆の力を抑えられればいいって訳か……」
「だがな勇一……それだけではダメだ。お前の精神力も必要不可欠だ」
そう言うのは火の龍。
「俺の……精神力……」
その頃……。
寺本はスコーピオンクリーチャーを探し続けている。
「クソッ……やっぱり闇雲に探してもダメか……。!そうだ、CSSがあれば!」
寺本は警視庁に向かった。
日菜乃はスコーピオンクリーチャーの気配を探す。
しかし、今は感じられない。
寺本は警視庁に着くと、日菜乃から電話があった事に気付き電話を返す。
日菜乃も電話に出る。
「日菜乃ちゃん?どうした?」
「あっ、寺本さんやっと出た。あのね、聞いて!あのクリーチャーの持つ毒が必要なの、あれがあれば血清を作れるんだって!だからあのクリーチャーを見つけたら手に入れてくれないかな?」
「なるほどな……わかった」
電話を切って寺本は警視庁に入る。
寺本は葛城を尋ねた。
しかし、葛城は外出していて居なかった。
その頃、葛城は藤波博士の研究室を訪れていた。
藤波博士に自分用の装備を作ってくれるように直談判する。
藤波博士は今はGTN-1以上の装備は作れないと断る。
GTN-1以上の装備、それがなければクリーチャーに対抗するのは無理。
葛城も諦めるしか無かった。
葛城はせめて自力でクリーチャーを探そうと町へ出る。
「GTN-1をパワーアップ出来ればまだ違うんだがな……」
藤波博士はそう呟いた。
その時、藤波博士のパソコンに1通のメールか届いた。
クリーチャーを探す日菜乃はスコーピオンクリーチャーの気配を感じる。
「……見つけた……」
そして、寺本に連絡する。
寺本は日菜乃の情報を頼りにスコーピオンクリーチャーを探しに向かう。
その頃、葛城もCSSでクリーチャー反応を察知し、現場に急行。
スコーピオンクリーチャーは町で人々を襲っていた。
寺本が到着。
寺本は車から降りて『装着』。
Vソルジャー登場。
スコーピオンクリーチャーが襲い掛かる。
接近戦では不利と考えVソルジャーは距離を取って『V-リボルバー』で応戦。
毒針を手に入れる為、尻尾を狙うが、スコーピオンクリーチャーは素早い動きでそれをかわす。
そこに葛城が到着。
少しでもVソルジャーを援護しようとライフルを構える。
「あれは……葛城警視か。……そうだ!」
Vソルジャーは葛城が狙い易い様に接近戦に持ち込みスコーピオンクリーチャーを抑える。
「コイツの毒の血清が必要なんだ!尻尾の先を狙って下さい!!」
Vソルジャーの指示通り葛城はスコーピオンクリーチャーの尻尾を狙う。
「射撃には自信があってね……」
葛城はライフルで見事スコーピオンクリーチャーの尻尾を撃ち抜く。
尻尾を失ったスコーピオンクリーチャーは一気に戦力が落ちた。
Vソルジャーは『V-ガトリンガー』でスコーピオンクリーチャーを攻撃。
スコーピオンクリーチャーを倒した。
Vソルジャーは毒針を持っていく。
「コイツで血清が作れるはずです。でも、まず助けたい奴がいます。先に使わせて下さい」
「わかりました。その代わり血清を作れたら他の被害者にも打ちます。連絡を下さい」
「ええ、勿論です」
しかし、その頃既に勇一の体では毒が全身に回り危険な状態となっていた。
果たして血清は間に合うのか!?
勇一は今、生死の境をさ迷っていた。
「勇一!?勇一!?」
正信が叫ぶ。
龍神の力で回復の早いはずの勇一の体でもスコーピオンクリーチャーの毒は脅威的なスピードで蝕んで行った。
苦しむ勇一……、熱が上がり呼吸困難になり、危険な状態が続く……。
寺本は病院へ急ぐ。
続く……。
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