第11話「同窓会」

この日勇一は郵便受けの中の郵便物を確認しに行った。

中には、金光コーポレーションからの書類と手紙が2通入っていた。


とうとう採用の合否通知が来たようだ。

勇一は早速確認。

結果は……。



『合格』

勇一は早速正信に報告した。

正信は勇一の仕事が決まった事に一安心していた。

そして、手紙の1つは正信宛てだったので正信に渡した。

それを見た正信は表情を変えた。

そして、自分の部屋に行ってしまった。

勇一はもう1通の手紙を見るとそれは小学校の同級生の原田一男(はらだ かずお)からの手紙だった。

同窓会の誘いだった。

「同窓会か……」


自分の部屋に入った正信が手紙を確認する。

手紙は龍の巫女からだった。


一方、退院した火村は現場に復帰していた。

そしてこの日は火村の復帰祝いを小田と川島がしていた。

「火村、退院おめでとう」

「ありがとうございます。ご心配お掛けしました」

「まっ、今は勤務中だからコーヒーだけだが、今夜は皆で焼き肉でも食べに行くか!」

と小田が提案する。

「やったー!!」

川島は大喜び。

「ありがとうございます」

火村も嬉しそうだった。

そこに葛城から小田に連絡が入る。

対策班全員で会議室に来て欲しいと言う。

葛城に呼ばれ会議室に3人が行くと……。

そこには自衛隊の蔵田隊長と寺本が居た。

クリーチャーと戦う警察と自衛隊のメンバー同士が初めての顔合わせをした。

寺本が鋭い眼光を火村に向ける。

火村もそれを察し緊張する。

「彼がGTN-1の……」

寺本が口を開いた。

「はい。火村です」

と答えたのは小田。

寺本は更に……。

「今までどんな戦いをしてきたか知らないが、クリーチャーを撃破した数はあまりにも少ないようだな……」

「それは……自分の力不足です……」

「そんな事ではこの国は守れん。あんたが戦うのは自由だが、俺の邪魔だけはするな」

寺本はその強い口調で火村を威圧する。

「申し訳ありません。寺本も悪い奴じゃないんです」

咄嗟に蔵田隊長が謝罪した。

「いえ……自分が力不足なのは本当の事ですから……」

火村はそれ以上に返す言葉がなかった。


顔合わせ終了後……。

「何よアイツ、偉そうに!ぽっと出のくせに!」

川島が一番怒っていた。

「まぁ、仕方ないよ。彼が言う事は本当だし……」

と火村がなだめるが……。

「はぁ!?あんたあんな言われ方されて悔しくないの?そんなんだから舐められるのよ!」

川島は不機嫌そうにそそくさと帰っていった。


その夜……。

「じゃあ、行ってくるから」

勇一が正信に声を掛ける。

「ああ、楽しんで来い」

正信が出掛ける勇一を見送る。

勇一は同窓会へ向かった。


その頃、火村、小田、川島の3人も警視庁の近くにある焼肉屋で火村の復帰祝いを始めていた。

「じゃあ、改めて火村、退院おめでとう」

「ありがとうございます」

カンパーイ!!

小田はビールを一気に飲んで気前良く二人にどんどん食べろと言う。

川島は早速肉を焼く。

火村の小皿にはどんどん焼けた肉が乗せられる。

「い、いや、こんなに一気に来ても食べ追い付けないって」

火村が困惑気味に言う。

「なーに言ってんの!火村は最前線で戦ってるんだし、いっぱい食べて力付けなきゃ」

川島はどんどん肉を焼きどんどん火村の皿に盛る。

「川島だって若いんだから食べろよ。遠慮しなくていいからな」

と小田が言うと……。

「私はほどほどに頂いてます」

と言いながら肉を頬張る。


そして、勇一も同窓会の会場に到着。

会場の居酒屋には同級生達が集まって居た。

「おっ!神上こっちこっち!」

勇一を呼んだのは手紙の送り主の原田。

「よぉ、久しぶり!手紙ありがとな」

勇一も久しぶりの友人との再会に喜ぶ。

「皆中に居るから入っててくれ」

「ああ」

勇一が中に入ると、中には数人の同級生が既に集まって居た。

昔一緒に遊んだ友達、そして担任の先生。

因みに勇一が小学校6年の時のクラスメイト達で、香織は別のクラスだった為、この同窓会には居ない。

「おっ!神上か!久しぶりだな!」

そう声を掛けて来たのは担任の池崎先生。

「お久しぶりです」

「お前のその笑顔は変わらないな。今何やってるんだ?」

「あー……それが……今まで仕事が決まらなくてアルバイトとかやってたんですけど……金光コーポレーションに就職が決まった所です」

「金光コーポレーション!凄いじゃないか。かなりの大手じゃないか!」

池崎先生もその報告に喜んでくれた。

そこに原田も入ってきて……。

「今日来る予定なのはあと2人だけど……時間だし、先に始めようか」

そう言って全員飲み物を注文し、乾杯を始める。

原田が幹事の為乾杯の音頭を取る。

「え~っ、皆さんお忙しい中集まって頂きありがとうございます。今年で担任だった池崎先生は定年退職されます。先生への感謝とこれからの健康そして、皆の幸せを祝って……カンパーイ!!」

カンパーイ!!


そう、勇一達の担任だった池崎先生が今年で定年退職となり、クラスメイト達が集まったのだった。

「皆、ありがとう。ありがとう」

池崎先生も大人になった生徒達とお酒を飲み嬉しそうにしていた。

その頃、遅れてやって来たのはクラスで人気だった女子上坂百合(うえさか ゆり)。

上坂は子どもの頃から可愛くて、性格も良かったので、男子達から人気があり、女子も友達が多かった。

上坂の登場で更に盛り上がりを見せた。

色々な話をしたが、上坂は今、女優を目指して芝居の稽古をしているらしい。

そして、もう1人の遅れている同級生の話題になった。

彼の名は奥戸荘司(おくど そうじ)クラスの中でも成績が良くこちらは女子から人気があった。

奥戸はアメリカの大学に留学していたが、卒業して日本に帰ってきているらしい。

そんな話をしていると、奥戸本人が到着した。

奥戸を招き入れ再び乾杯するクラスメイト達。

原田が奥戸にアメリカの大学の話を聞き出した。

奥戸はアメリカの大学で宇宙工学の勉強をしていて、そこには同じ日本人で1つ上の先輩が居て凄くお世話になったと言う。

その先輩と共に研究していたシステムの理論を活かして日本では仕事に就くつもりらしい。


しかし、奥戸の説明が難しく誰も理解は出来て居なかった。


その時、勇一はクリーチャーの気配を感じた。

それも凄く近くに……。

「皆逃げろー!!」

勇一が叫ぶがあまりに突然の事で皆キョトンとしている。

「ここは危ない!!早く逃げて!!」

勇一が必死に呼び掛けるが……。

「何言ってんだ?お前……もう酔ったのか?」

「いや、そうじゃなくて!!」

しかし、もう遅かった。

クリーチャーはすぐそこまで迫っていた。

勇一は店の外に飛び出す。

すると、クリーチャーが飛び掛かってきた。

勇一はギリギリ避ける。

襲ってきたのは以前逃がしたコウモリのクリーチャー、バットクリーチャーだった。

「あっ!お前は!」

勇一は『火の宝玉』を取り出す。

しかし、変身する前にバットクリーチャーが襲ってくる。

勇一は『火の宝玉』を落としてしまった。

別の『龍の宝玉』を出そうとするが、バットクリーチャーは変身の隙を与えない。

勇一は攻撃を避け続けるしかなかった。


騒ぎに気付き同級生達が出てきてしまった。

これでは変身が出来ない。

勇一はピンチ!

バットクリーチャーにとうとう捕まりバットクリーチャーが勇一の首筋に牙を向ける。

血を吸い取ろうとしていた。

同級生達は警察に連絡をするが……。

警察を待って居られる状況では無かった。


するとそこに誰かがバットクリーチャーを背後から攻撃する。

バットクリーチャーは勇一から離れる。

勇一が見るとそこにはVソルジャーが『Vリボルバー』を構えて立っていた。

「自衛隊の者です。早く逃げて!」

Vソルジャーの呼び掛けで同級生達は避難する。

勇一は落とした『火の宝玉』を拾いその場を離れる。

「ふぅ……助かったぜ……」

勇一は『火の宝玉』を掲げて『変身』。

龍神ドライガー登場。

ドライガーも戦いに加わる。


その頃、通報を受けた警察も火村達を現場に向かわせていた。

しかし、全員お酒を飲んで居たため、別の警察官が3人をパトカーに乗せていた。


パトカーの前にルシフェルが怪人体で現れ立ち塞がる。

「あいつは!」

火村がパトカーを降りて『変身』。

GTN-1登場。

こちらでも戦いが始まった。


続く……。

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