第7話「刑事とヒーロー」

勇一はクロウクリーチャーを倒した後、行方不明になった香織を探してくれるよう火村に頼んだ。

「わかりました。私も刑事です。放っておけません。まずは詳しく話を聞きたいんですが……」

火村も協力してくれるようだ。

「ありがとうございます。じゃあ、まずウチの神社に来て下さい。お隣りさんなんで」

そう言って勇一は帰ろうとする。

「ちょっと待って、折角だから乗って行って下さい」

火村はパトカーで一緒に行こうとするが……。

「あっ、バイク向こうに置いて来ちゃったんで取って来ます」

と勇一は返す。

「えっ、?何で……?」

火村はバイクを置いてここまで来た勇一の行動が不思議だった。


その後、火村は【龍宝神社】へやって来た。


勇一と合流し、隣の香織の家に行く。

家には香織の母親が心配して待っていたが、勇一が刑事をいきなり連れて来たので驚いた。


火村は母親から話を聞いた。

話の流れで香織が昨夜会っていた高校時代の先輩が川島だと言う事がわかった。

香織の昨日の服装を聞き写真を借りた火村と勇一は連絡先を交換し、手分けをして探す事に。

また、火村は一度警視庁に戻り捜索の応援を要請する事にした。


その間、勇一はバイクで香織の友達の家を訪ねてみる。


しかし、香織の行方を知っている人は居なかった。


火村は捜索の応援を要請し、再び勇一と合流する。


2人の地元がこの街なので、昨日利用した居酒屋も近くと推測し、火村と勇一は2人で居酒屋を巡る事に。


しかし、この街と言っても居酒屋は大きなチェーン店から個人の店まで数多く存在する。

「2人の行きそうな店が分かればまだ絞り込めるんですが……」

そう火村が何気なしに呟く。

「あっ!」

勇一は何かを思い出した。

それは以前香織と勇一が高校の同級生達と集まって飲んだ居酒屋があった。

その後、香織はその居酒屋を気に入って時々行ってたらしい。

勇一と火村がそこへ向かった。


その頃、川島と香織は……。

男の居ないスキに何とか脱出の手立てを考える。

2人とも腕を後ろで縄で縛られていた。

川島は縄を何とか外そうともがくが……。

途中で男が戻ってきてしまった。

仕方なく作業をやめる川島。


「大人しくしてたか?」

男は川島に拳銃を向けた。

「拳銃!?くっ……」

「あなた……何でこんな事するの?」

川島が問い掛けた。

すると、男は香織に拳銃を突きつけた。

「動くな……下手な事をするとコイツに頭を撃ち抜かれるぜ」

「くっ……」

川島は抵抗出来なかった。

香織は恐怖で震えている。

「そのまま大人しくしてろよ……。教えてやるからよ……。何でこんな事をするのかを……」


その頃、勇一と火村は居酒屋に行っていた。

店主の話では昨夜の23時半頃2人は店を出て行ったらしい。

ここからは街の監視カメラを駅の方へ辿っていけば発見出来るはず。

火村は協力してくれている捜査班に連絡を入れる。

ここから先は時間の問題だ。


その頃、川島と香織を誘拐した犯人は自分の目的について2人に話していた。


犯人は川島とわかって狙ったと言う。

犯人は昔もある事件を起こし警察に追われた事があった。

その時、張り込みをしていた刑事を一人拳銃で撃ったが、自分も仲間の刑事に右肩を撃たれたと言う。

それから警察に恨みを持っていたが、その後ニュースで自分が撃った刑事が死亡した事を知った。

しかし、この男の恨みは消えずずっと探していたと言う。

自分を逮捕しようとした刑事の家族を何年も掛け調べた。

すると、その刑事の娘も刑事になっている事を突き止めた。


ここまでの話で川島は全てを理解した。


そう、この犯人の男はかつて牧田と川島の父が追っていた山田だった。


山田は整形し顔を変え、さらに名前を変えて逃げのびていたのだった。


川島は父を殺害した犯人を目の当たりにして、怒りがこみ上げていた。


山田は小屋を出て行った。

まだ、何かを企んでいる様子。


火村と勇一は監視カメラの映像を頼りに川島と香織が通った道を探していた。


山田は小屋の近くに隠しておいた灯油を持ってきていた。

だが、その山田をクリーチャーが狙っていた。


そのクリーチャーは硬い甲羅を持ったタートルクリーチャー。


タートルクリーチャーが山田に近付く。

山田はそれに気付き悲鳴を上げる。

「ぎゃーっ!?」

その悲鳴を聞き、川島が外を見ると……。

タートルクリーチャーに山田が襲われていた。


「先輩、どうしたんですか?」

香織が川島に話し掛けるが……。

「しっ!静かに……」

クリーチャーに見つかれば自分達も殺されるかも知れない。

川島は動く事が出来なかった。


勇一が気配に気付きタートルクリーチャーの元へ急ぐ。


「勇一さん!?」

突然バイクで走って行ってしまった火村は驚き後を追う。


しかし、気配がしたのは山の方。

行くには時間が掛かってしまう。

そこで勇一は『変身』。

龍神ドライガーがストームドラゴンの姿で登場。


風の力で空から山に向う。


飛んでいくドライガーを見つけた火村もドライガーを追う。


逃げ回る山田は灯油のポリタンクを蹴飛ばしてしまう。

灯油が溢れ引火したら危険な状態に……。


そこにドライガーが到着。

ドライガーはタートルクリーチャーと戦うが、ガード力の高いタートルクリーチャーに『ドラゴニックヴァレル』の攻撃が通用しない。


ドライガーは『ファイヤードラゴン』にチェンジ。

タートルクリーチャーに打撃を叩き込むが……。

硬い甲羅にガードされる。

「痛って!?何だコイツ、硬っ……!?」

そして、タートルクリーチャーの反撃を喰らう。

ドライガーは必殺技『ドラゴニックボンバー』を叩き込む。

しかし、それを甲羅に阻まれた。

そして、それがまずかった。


飛び散った火花が灯油に引火。


「うわっ!?まずい……!?」

炎が灯油を伝い小屋に近付く。

川島が必死に叫ぶ。

「ドライガー!助けてー!!」


その声に気付いた。

「待ってろ!って、あれ?川島先輩?まさか!」

ドライガーいや、勇一は察した。

あの小屋に川島と香織が居ると。

助けに行こうとするが、タートルクリーチャーが襲い掛かる。


「クソッ……邪魔すんな!」

ドライガーは何とかタートルクリーチャーを振り払う。


ドライガーは更に『ウォータードラゴン』にチェンジし、2人を助けに小屋に向う。

水の力を持つウォータードラゴンなら火の中でも耐えられるからだ。


ドライガーが小屋に飛び込むとそこには川島と香織が居た。

「ドライガー!助けてくれるのね!」

ドライガーは香織に正体を悟られないように声を出さずただ頷く。

2人を縛っていた縄を解き2人を連れて脱出。


しかし、小屋には既に火の手が回っていて小屋は全焼。


無事、川島と香織を救出出来たが、そこにはタートルクリーチャーの姿が無かった。

更に川島が辺りを見回わす。

しかし、山田の姿も消えていた。

山田は逃走したようだ。


「ありがとう、ドライガー」

川島がお礼を言った。

更に香織も。

「龍神様……でしょ?」

ドライガーに尋ねる。

ドライガーは頷いて去って行く。


逃走した山田は山を下りた所で警察に逮捕された。

「山田直之(やまだ なおゆき)誘拐の容疑で逮捕する」

火村が手錠を掛ける。


山田はそのまま地元の警察署に送られ火村と勇一が合流。


救出された川島と香織は念の為病院へ搬送された。

これでようやく全てが解決した。




かに思えた……。

しかし、山田は連行途中のパトカーの中で、また別のタイプのタートルクリーチャーに襲われ命を落とした。


病院でそれを聞いた川島は複雑な気持ちだった。

父親を殺した憎い相手を殺した犯人が今自分が戦っているクリーチャーである事、そして、山田の他にそのパトカーに居合わせた警察官達も亡くなった事でまた誰かが自分と同じ思いをする事になるのでは無いかと思っていたからだ。


続く……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る