第5話「空からの襲撃」

−特殊犯罪対策室−

改良を加えたGTN-1が火村に返された。

「遂に出来たんですね!」

火村が興奮気味に言う。

「ああ、これでクリーチャーにも対抗出来るだろう」

藤波博士も自信ありげに言う。

藤波博士は更に続ける。

「所で……何か分かったか?ドライガーという戦士について」

火村は少し困った様子で話す。

「それが……伝説に残る戦士という事はわかったんですが……正体についてはわかりませんでした。ただ、この前の戦いで彼は姿を変えていました。赤い姿から青い姿に」

「そうかぁ……あっ、そうだ。私の知り合いに古代の伝説について研究してる学者がいるから彼なら何か知ってるかも知れん。行ってみたらどうだ?」

そう藤波博士はアドバイスする。

「はい、行ってみます。いいですよね?小田さん」

火村は行く気だ。

「ああ、謎を解明する手掛かりになるかも知れないからな。いいだろう」

小田の許可も下りた。


その頃、勇一は……。

朝からバタバタと身支度に追われていた。

勇一は今日から就活を再開する事にした。

スーツに着替えネクタイを締め準備完了。


「父さん、じゃあ行ってくる」

勇一が正信に声を掛ける。

「ああ、頑張ってな」


勇一は家を出てハローワークに向う。


その頃、香織の会社の近くでは奇妙な事が起きていた。

道行く人々が次々に突然倒れ始めたのだ。

倒れた人々は周りの人に介抱され病院へ搬送された。

この奇妙な事件は警察にも連絡が入り捜査をする事になった。


−特殊犯罪対策室−


小田、火村もこの事件が気になっていた。

「集団で倒れるか……確かに奇妙な話だな」

と小田が話していると……。

「ええ、しかも、倒れた人々は全員倒れた事を覚えてなく、気が付いたら病院に居たと証言しているそうです」

と火村が言う。

「何があった覚えてないって訳か……。まさかこれもクリーチャーの仕業だと?」

そう小田が聞き返す。

「ええ、そうじゃないかと思ってます」

と火村も答える。

さらに火村はある事に気付いた。

「あれ?そういえば川島は?」

「ああ、今日は非番だ。ほら、アイツのお父さんの命日だろ。お母さんとお墓参りにでも行ってるんだろう」


そう、この日は川島のお父さんの命日で、母親と一緒にお墓参りをしていた。

川島のお父さんも警察官で犯罪者と戦っていたが、ある日殉職していた。


父のお墓の前で手を合わせる川島。

「お父さん、私も刑事になったよ。見守っててね」


その頃、勇一はハローワークで仕事を探していた。

「ん〜なんかいい仕事ないかなぁ……ここは簡単そうだけど、給料安いし……こっちは給料良いけど、資格が必要だし……」

苦戦していた……。


その日の午後、火村は藤波博士に紹介してもらった伝説について研究していると言う学者を尋ねた。


「ここか……」

それは清明館大学(せいめいかんだいがく)と言う大学で、ここの教授をしてる人物らしい。

火村は早速中に入りその教授への面会を申し込んだ。

今は講義中の為しばらく待つ事になった。


火村がこれから会うのは伝説や伝承の研究をする松戸浩二(まつど こうじ)教授(43歳)

藤波博士の古い知り合いらしい。

それから数分後、講義を終えた松戸教授が火村の待つ応接室に来た。

「いやぁ、お待たせして申し訳ありません」

部屋に入って来た松戸教授は細身で背の高い男性だった。

「いえ、こちらこそ急に押しかけて申し訳ありません」

火村が挨拶をすると……。

「藤波先輩から話を聞きましたが、龍神について聞きたいそうですね。刑事さんがどうしてです?」

火村はクリーチャーとドライガーの事を説明した。

話を聞いた松戸教授は少し考え話出した。

松戸教授の話はこうだ……。

まず、龍神と邪神が数千年前に戦ったと言う記述が残っている事、松戸教授も古文書を実際に見たが、それによると、その戦いは数千年毎に起こっており、遥か古代からその戦いは続いていると言う。

その龍神は戦いが起こる度にその時代の選ばれし人間に力を与え、邪神の使いと邪神を封印して来たと言う。

更に龍神は火、水、風、土の力を宝玉として持ち状況によって姿を変えたと言う。

しかし、敵の邪神についての記述はまた別の書物があるらしく、それは何処かに紛失してしまい、詳しくはわからないらしい。


そこに、小田から火村に電話が入った。

「火村、また人が突然倒れる事件が起こったらしい。クリーチャーの仕業かも知れん。現場に向かってくれ」

火村は直ぐに現場に向かった。


勇一も気配を感じ、仕事探しを中断して現場に向う。


現場はまた香織の会社の近くだった。

また、外が騒がしくなり香織が会社の窓から外を見てみると……。

上から何かが降ってきた。

驚いた香織は思わず悲鳴を上げる。

しかし、それを見ていたのは香織だけではなかった。

香織達が見たのは人型の鳥だっだ。

現れたのはカラスの姿をしたクリーチャー。

クロウクリーチャーだった。


クロウクリーチャーは空から人々に自分の羽根を突き刺して行く。

しかし、不思議と痛みは無いらしく、刺された人は突然倒れるだけだった。

今度は午前中より低く飛んでいる為、多くの人に目撃された。

クロウクリーチャーを見た人々は逃げ出しパニックに陥った。


そこへ、火村が到着。

「アレか……」

パトカーを降りた火村が『変身』。

GTN-1登場。

GTN-1は『G-ブラスター』で攻撃するが、クロウクリーチャーの動きが素早く命中させられない。

「クソッ……」

更にクロウクリーチャーが急接近しGTN-1に突進。

GTN-1はダメージを受けた。


そこに勇一が到着。

勇一も『変身』。

龍神ドライガー登場。


しかし、空を飛ぶクロウクリーチャーには攻撃のしようがない。

クロウクリーチャーは空からドライガーとGTN-1に羽根を投げつける。

その羽根は命中すると、直ぐに爆発し、2人共ダメージを受ける。

どうやらこの羽根は人々に撃ち込んだ物とは違うようだ。


クロウクリーチャーは更に羽根を投げつける。

ドライガーは今度はそれを右足に喰らい足を負傷。

GTN-1は『G-ランチャー』を装備し、クロウクリーチャーを攻撃。

その攻撃はクロウクリーチャーの左の翼を貫いた。

深手の傷を負ったクロウクリーチャーは逃走。


ドライガーは負傷した右足を引きずって立ち去る。

GTN-1が引き止めるがドライガーは帰って行った。


その日の夜……。

家に帰った勇一は正信に傷の手当てをして貰っていた。

「イテテテ!?もっと、優しくやってくれよ!」

「文句を言うな。この位の傷で済んで良かったじゃないか。これも龍神様のお陰だ」

正信の言う通り龍神の力のお陰で傷は既に治りかけていた。


その頃、警視庁では……。

連絡を受けた小田が火村にも報告。

クロウクリーチャーに羽根を刺された人間は全員死亡が確認された。

これから検死が行われるらしい。

「全員死亡!?そんな……まさか時間差で殺人を起こすなんて……」

「まったくだ……恐ろしい相手だよ。犯人が人間なら完璧なアリバイ工作も出来てしまう」

火村はショックだった。

パワーアップしてクリーチャーにも対抗出来るようになったはずのGTN-1がクリーチャーを倒せず多くの犠牲者が出てしまった事が。


そしてその頃、川島は高校時代の後輩と会う約束をしていて、駅で待ち合わせをしていた。

川島が待って居るとやって来た後輩は……。

香織だった。

「セーンパイ!お久しぶりですぅ〜」

香織も高校時代川島を先輩として慕っていた。

2人が楽しそうに話しながら居酒屋に向かっていると……。

その2人の後を付ける怪しい人影が……。


そんな事も知らず川島と香織は居酒屋で楽しく喋りながらお酒を飲む。


続く……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る