第3話 ほかほかのキャラメル
珍しいものを見つけたと、恭明は目を見開いた。
何もない道に、銀色の水筒が落ちているのを見つけたのである。
恭明はそれがなんであるのかを知っていた。
ほかほかのキャラメルである。
近寄って水筒を開けると案の定、中にはキャラメルが入っていた。
濃厚な琥珀色をしたキャラメルが、銀色の水筒の中でとろりと溶けている。
それは非常に高価なもので、なかなか手に入れることができない。
スプーン一杯を口に含めば幸福が下の上に広がり、
孤独な人の心ですら癒すことができる。
しかしこれは悪魔の妙薬ともいわれ、
金持ちの間では食べることがやめられなくなる者も出てくるのだという。金持ちたちは、しまいにはほかほかのキャラメルのことしか、考えられなくなってしまう。
恭明はそっとふたを閉めると元の場所に置き、また歩き始めた。
ホワイトショートショート 中村 眞澄 @7442
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