第2話 四本足の黒
ゆっくりと恭明の足元に近寄ってきた。
それは真っ黒の姿をしていた。背丈は恭明の膝ほどしかなく、動きは非常にゆっくりとしている。四本の足は長くもなく短くもなく、遠目から見ると犬のようにも見える。
しかしよく見ると、体中にきらきらした砂粒のような光が瞬いているのだ。
耳をそばだててみると何か鳴き声が聞こえるような気がする。しかし聞き取ることはできない。
非常におだやかなようにも見えるが、場合によっては人を飲み込むこともあるのだという。飲み込まれてしまったものは、どこへいくのか誰もわからない。
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