ホワイトショートショート

中村 眞澄

第1話 刻むボウル

恭明はじっと中を見つめた。

そのボウルは一見すると普通のボウルと変わらない。

銀色に輝くボウルは光を浴びて、ぴかぴかと光り輝いている。

そのボウルに入れると、すべてのモノが測られる。グラムやキログラムで測ることもできれば、苺何個分、という形で測ることもできる。

しかし、ある一部の人にとって、それは不都合であるかもしれない。中身がわかりすぎることで、その価値が見えすぎてしまうからである。それはそれで困ったことだ。なぜなら、本当は価値が無いものが売れなくなってしまうからである。

彼はそのボウルを持って部屋の外に出た。

安全なところへ隠さなければと思ったのだ。

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