何回でも遊べるどん!/お題:生きているゲーム/制限時間:15分

ブォン。

ゲームが起動する。テレビの大画面にタイトルが映し出された。『Don’t Start』。見たことも聞いたこともない名前だ。中古でやけに安く売られていたから思わず勢いで買ってしまったが、どんなゲームなのか全くわかっていない。

とりあえずスタートボタンを押す。……何も起こらない。押せていなかったかともう一度押してみるが、何も起こらない。何度押しても反応しないので、ムキになって連打する。始まらない。まさか、あんなに安く売られていたのはそもそも始められないからか?不良品?

「おーい、反応しろー」

小さく声をかけてみる。

「何か用か?」

「ああ、そうだ……ってうわ!?」

突然、画面が切り替わり、男性の立ち絵と共に、『何か用か?』という音声が流れてくる。驚いて体をのけぞらせると、画面の中の男がけらけらと笑った。

「すまんな。驚かせて」

「いや……は?え、怖い怖い怖い怖い!え?は、え?なんで会話できてんの?」

「そりゃ、俺は生きてるからな」

呆気に取られて画面を凝視する。生きている、という言葉の通り、俺と男はなんの違和感もなく会話ができている。どういう状況だ?

「まあ、このゲームのクリア方法だかな。とっても簡単だ。ゲームを終了すればいい」

「ゲームを終了……?」

「ああ。簡単だ……」

男の言葉を遮って、俺はゲームの電源をぶちんと切った。部屋が静まり返る。

「……中古屋に売りに行こう……」

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即興小説まとめ 結津 @yuizu

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