売れない/お題:明日の消費者金融/制限時間:15分

金がない。困った、金がない。

今までありとあらゆる場所から金を借りてなんとか生き延びてきたが、いよいよ金がない。借りられる知り合いたちからはありったけ借りているし、これ以上頼み込むわけにもいかない。

そもそも、金ってどこから湧いてくるんだ?仕事?しかしまあ、こちらが仕事をしたいという気持ちを持っていても、持ちかけてくる依頼主がいなければ仕事にはならない。俺は今まで怠けたことなんて一度もないのだ。一年365日、一度だって作品をつくることをやめなかった。もうずっとつくり続けている。それが俺の仕事だ。しかし金がない。売れないとはこんなにも悲惨なものか。一枚、また一枚と舞い込んでくる督促状を尻目に、次の作品はきっと売れるからと作り続ける。愚かか?俺は愚かか?ごまんといる作ることを諦めてしまった人間たちの無念を晴らすという野望は、自らもまた諦めの境地に至ることでたちまちのうちに消え去るのか?ああ、売れさえすれば。売れさえすればいいのになあ。今まで散々俺のことを罵ってきたやつらを見返してやれるのに。


明日はきっと、明日はきっと売れますから。だからもうしばらくお待ちください。ええ、きっと。頼みますから、きっとです。


そうして俺は今日も眠りについた。

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