晴天の雨/お題:輝くお天気雨/制限時間:15分

「あ、狐の嫁入り」

隣を歩いていた姉が空を見上げた。

「狐の嫁入り?」

「うん。晴れてるのに雨が降ってる時のことをそう言うんだよ」

姉が空中に手のひらを差し出す。ぼくも真似して手のひらを差し出すと、ぽつぽつと冷たい雨粒が落ちてきた。見上げた空には青空が広がっており、白い雲の隙間からは太陽が煌々と照っている。なんとも不思議な感覚だ。

「なんか、綺麗だね」

ぼくが言うと、姉は首を傾げた。

「そう?私には悲しそうに見えるけど」

「なんで?」

「だって、せっかくの晴れなのに泣いてるんだよ」

「泣いてる……」

ぼくは手のひらに降ってくる雨粒を見つめた。ひんやりとした冷たい感触が、体温を奪っていくようだ。

「嬉し泣きだったらいいなあ……」

「そっか、嬉し泣きかもしれないね。嫁入りだから」

姉はにっこりと笑って空を見上げた。つられて僕も顔を上げる。

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