第24話-メルトダウン-
何かが激しく崩れる音が響いた。
馬頭たちの足の治療を終え、様子を見ていた藤は城塞の壁を見た。僅かに砂埃が城塞の上から見え、異常を察知した。
「どうやら始まったのかもしれぬ。」
治療されたばかりの足をさすって大兄者が言った。
三兄弟も藤も、城塞の扉からただならぬ力が伝わってくるのを感じた。包帯を巻き終えた藤が立ち上がって扉を見た。
「薬は塗り終わった、これで大丈夫なはずだから。私ちょっと行って見てくる。」
「うむ、我々も後で追いつく。気をつけるのだ。」
「空中に結界の類はない、飛んでいけばそのまますんなりと入れるはずだ。」
脚を休める三兄弟を背に、藤は背中からの翼で飛んでいく。
果たして何が始まっているのか──藤は不安を胸に、桜鬼たちの元へと飛び立った。
石と鉄がせめぎ合う。
歯を食いしばって鍔迫り合いに耐えるが、ナレフの想像以上の腕力が曲剣から伝わり、少しずつ桜鬼が押されていく。
かつての友だった男、窮地から桜鬼を救ったこともあるはずの男は、もはやその面影はない。今はロームの配下に成り下がってしまった。
「おま、え…俺の事…わかんねぇのか…!」
答えずさらに力を込める。
ナレフの顔は全て黒い影に塗りつぶされ、狂気の炎が灯るその目だけがギラギラと黒の中に異様に輝いている。返答する意思もないのだろうか。
「こん…の野郎!」
桜鬼は押される力に身を任せて地面に背中をつけて転がる。そのままナレフの胴体に足をつけて蹴りあげた。
だがナレフも受身をとってすぐさま体制を整え直すとすぐさま桜鬼に向かっていく。身の丈以上の巨大な石の曲剣を片手で振り上げ、切るというよりは潰すように桜鬼に向けて振るう。
桜鬼はそれらをかわしながら意識を集中させ、雷の力を身にまとった。太鼓が六つ、召喚され桜鬼の背中に円を組む。
「やる気か、桜鬼殿!」
フォウルが再びロームの玉座へ向かいながら桜鬼を見て叫ぶ。
「いや、気絶させる!んでもって檻もぶっ壊して、そいつのところに行く!そいつぶっ叩きゃナレフも止まるだろ!」
そう言うと跳躍し、檻の高さ10mほどギリギリまで飛び上がって檻の天井を掴んだ。
「これでどうだ!」
浮遊する太鼓はナレフに向かっていくとすぐさま眩い閃光が辺りを強く照らす。
だが何万ボルトもの雷も衝撃もものともせず、ナレフは跳躍して桜鬼と対峙する。腕を振り上げて殴りつける。だが桜鬼は身を捻ってかわし、同じく拳で応戦する。頬を掠めた。
桜鬼は檻を手放して落下した。ナレフも同様に地に落ちていく。
やがて二人の腕が組合い、空中で睨み合う。
その時、檻を溶かして炎の矢がナレフの頬を掠めた。組み合った腕を解いて二人は着地する。
桜鬼もナレフも上を見上げた。
矢を射った主は藤だった。空中から矢を飛ばし桜鬼を援助している。
「藤!来たのか!」
藤はさらに矢を引き絞った。今回は分散させず、1本1本を的確にナレフへ向けて放つ。
高温の矢は檻をも溶かし、ナレフを貫こうと進むが、ナレフも的確にかわして致命傷を避けていく。
「気を逸らすなよ、相手は俺だろうが!!」
藤に気を取られている隙に桜鬼が棍棒を振るった。
曲剣で防御を取るが、所詮石の塊、鉄には適わずとうとう曲剣は砕け散った。そのまま棍棒は胴体、脇腹に直撃しナレフは後方に飛んだ。
「いい援護だぜ、藤!」
桜鬼は空の藤へ親指を上げた。
藤は円を描いて飛び、引き続き援護の体制を示す。
やがてフラフラとナレフが立ち上がる。
まるで人形師に操られた人形が立ち上がるように、弱々しく。
「タフなヤツ、あの女の力のせいかもしれねぇけど…頼むから寝ててくれよ、ナレフ!」
桜鬼が再び向かっていく。するとナレフは両手のひらを自身の胴体にかざした。鎧の隙間から黒い光が溢れ、血管のように筋となって全身に巡った。そのまま桜鬼に向かって、再度放たれた藤の炎の矢をものともせず突進する。振られた棍棒をかわすと、桜鬼に勢いのついたアッパーカットをお見舞いした。
人間のそれとは思えないほどの力でぶん殴られた桜鬼は意識が混濁し、宙に舞う。
そのままナレフは狙いを定め、ローリングソバットによる回し蹴りを加えた。
吹き飛んだ桜鬼の体は檻をひしゃげさせ、観客席の壁にめり込んだ。
追撃せんとまたもや走り出すナレフに藤の炎の矢が飛ぶ。数本命中し、ナレフの意識はまたもや藤に向けられた。
檻に飛びつき、矢によって溶けた箇所から檻の数本をへし折る。おおきく振りかぶって、檻の一部を鉄の矢として空の藤へと投げた。細いそれは檻の合間をすり抜け、銃弾のように藤に向かっていくと、防御の隙を与えず藤の翼や胴体を貫通した。
「しまっ…」
バランスを失い空中でよろめく。幸い致命傷ではないが攻撃は中断せざるを得ない。
「誰だか知らないけど厄介な…!」
そう言って藤は少し高度を下げ、後ろに下がって距離をとる。肉体の再生も含め、再度の援護には時間がかかるだろう──。
「バタバタとまぁうるさいこと…」
ロームがバリアの破壊を試みるゼツを意にかけず、煩わしそうに空を見上げ、高度を下げた藤を見ると指を鳴らしてドグラを呼んだ。バリアの内側、ロームの傍に現れる。
「お呼びかな、お姉さん」
「ちょっとアレ、落としてきてくれない?」
そういって体制を整える藤を指さした。
「わかりました」
そう言うとまたもやドグラは消え、今度は空中の藤と向き合うように現れた。
藤は突然空中に現れた少年に僅かに動揺したが、すぐに戦意を剥き出して問いかける。
「お前、どこから?」
「やぁ、美人のお姉さん。悪いけど、僕達の主がお姉さんは邪魔だって。消えて。」
「誰だか知らないけど、多分私たちの敵ね、貴方。この状況でも私を舐めると痛い目にあうよ。」
藤はそう言うと体制を整え、現れたドグラの肩を掴み、両足の裏を同じくドグラの胴体へと密着させて炎の力を高めていく。宝玉が煌めき出し、輝きを増す。
「面白そうだよね、それ。僕達もやってみたいね」
「やってみようか」
急に現れたマグラが後ろから藤に組み合う。
「な、お前、どこから…」
「うん、ものは試しだね、マグラ」
マグラに気を取られた藤の足をドグラが逃がすまいと掴んだ。
「やめ、離せ!」
「残念でした」
焦ってしまい、爆発寸前の炎の力も制御出来ない。藤が爆発する刹那、マグラの胸の青い宝玉も光を放つと──武士に放った時以上の爆発が闘技場の上で起こった。
マグラが新たに得た水の力を利用し、藤の炎の高熱と混ぜ合わせ水蒸気爆発が発生した。
爆発の中心にいた藤は気絶し、ボロボロの体であらぬ方へ落下して行ってしまった。
「バイバイ、鳥のお姉さん。」
藤とは対照的に無傷のマグラ。落ちるがままに身を任せ、やがて空に溶けた。
「ふ…藤ーッ!」
意識を取り戻した桜鬼が爆発した空を見上げて叫んだ。
フォウルがようやくロームの近くまで寄り、剣をふりかざす。が、やはりバリアに拒まれ、攻撃が通らない。
「無駄だって言うのに、ほんと男ってどうしてこうなのかしら。」
ロームは玉座から立ち上がった。そして右腕を前に掲げる。
「さぁ、そろそろ決めてしまいな!」
言葉が終わると同時にナレフが再度突進する。
光を纏う拳を振りかざすが、桜鬼はあえてこれを額で受け止めた。
「お前、結構強かったんだな」
ナレフの腕を掴んだ。
「でも俺だってここでやられる訳にはいかねーんだよ!!」
体を横向きに、そのまま側転するように足で顎を蹴りあげた。さらに風の力で滞空時間を伸ばし、加えて棍棒を下から大きく振るった。ナレフの体が宙に浮く。
「も…一丁ッ!」
風の力を借りてもう一回転、さらにもう一回転と体をひねり、棍棒でどんどん打ち上げていく。やがて檻の頂点近くに達した。
「いい加減…」
浮き上がったナレフの前に桜鬼が体をひねる。
「ぶっ倒れやがれぇぇぇぇえぇぇ!!!」
思い切り棍棒を地面に向けて振るった。力を込めて棍棒がさらに大きくなった。
そのまま鉄の塊がナレフを直撃し、鉄の塊の下に押しつぶされる。
棍棒の巨大化を解いて様子を見守る。
これで決まったか──?
そう思った時、地に伏したナレフが動いた。
「クソ、まだ余力が…え…?」
追撃に向かった桜鬼は足を止めた。
立ち上がったナレフの胴体、みぞおち辺りには、鎧を突破って黒々とした宝玉が覗いていた。
「む、そこまで削られちゃったか。──しょうがない、切り札を!」
その言葉と共に、宝玉が禍々しく光ると──
ナレフの全身が膨れ上がった。胴体や腕の鎧は膨れ上がる肉体を抑えきれず、ところどころ割れた。
首が太く、長く伸びた。顔も前に突き出し、額からは炎を固定したかのような形状の角が二本新たに生える。その姿はまるで人間のそれでは無いものへと変貌していく。
「さぁ、ここからが本番よ!鬼の子、お前は──」
ロームが興奮に息を荒らげた。
丸太のようになった二本足が大地を踏みしめる。なびいた尻尾が空を舞って地面に下ろされる。
「コイツを仕留め切れるかな!?」
そこに居たのはもうナレフとは呼べないものだった。
目の前には、鎧を身にまとった竜が、けたたましい雄叫びを上げて立っていた。
変貌したその姿はもはや人ではなかった。桜鬼を仕留めようと一直線に向かってくる。
桜鬼は飛んでかわす。檻の頂点に近い部分でまたもや滞空するが、竜はすぐさま上に跳び、桜鬼を捕まえんと腕を伸ばした。動作が見えていた為、かわすことは出来たが竜のスピードも早く、紙一重のところだった。
「鬼ごっこにしちゃ激しすぎる…!」
地に降り立つ桜鬼を今度は踏み潰そうと脚を振り上げて落ちてくる。
「やばッ…!」
地面が窪んで激しい音が響いた。
横に飛んで避けるが、竜はそれを読んでいた。
人間二人分ほどもある太さの尻尾が桜鬼を直撃し、一瞬離れて今度は地面に叩き潰す。
「あ゛っ゛…!」
濁った声が喉からこぼれる。尻尾は下に桜鬼を捉えたまま地地面を滑り、土埃を巻き上げて桜鬼を壁に突き飛ばした。
「本番、は…これからってことか…」
口から血を流して、桜鬼が立ち上がる。
まだまだ戦闘が終わる気配は無い──
「ありゃ何だ…ナレフなのか…?」
ゼツが変わり果てた友人の有様を見て呟いた。
フォウルも目を奪われて檻の中を見つめている。
「もうアレは人の形を捨てた。いや正確には捨てさせたの。」
ニヤリと笑うロームが語り出す。
「私に逆らうとどうなるか。自らの有り様さえ自分で認識できないほど歪められ、その意識は奥底に閉じ込められる。代わりに現れるのは、本人の潜在意識に基づいて無理やり引き出した怪物の姿。…まぁ私の影響も少なからず受けるけど。面白いから人の形とその面影が残る程度にはしてあげたけど、結構いい動きするじゃない。」
「貴様…!」
フォウルが激高して斬りかかったがやはりバリアに阻まれてしまう。
「ゼツ殿、何としてもこやつを殺す。こやつを殺せばナレフ殿も桜鬼殿も助かる!」
「フォウル、お前…」
「早くしろッ!!」
彼に珍しい、強い命令口調に一瞬戸惑ったが、すぐにゼツもバリアに直接手を置いて影を展開する。影はバリアをある程度なぞって走った。
だが一撃事に激しさを増す剣筋にも、直接侵食してくる影にもビクともしない。やはり頬杖をついたまま桜鬼とナレフだった竜との戦いを眺めている。
「私を倒そうという覚悟は立派だったが、さてね──友達を、変わり果てた友達を殺せるか?救えるか…?怪物の子…」
対峙する桜鬼と竜。均衡を破ったのは竜からだった。
竜の胸部が膨れ上がる。食いしばった口からは黒い炎が溢れ、エネルギーを送っているかのように胸の黒い宝玉が光を放っている。
何をするかは想像ができた。桜鬼は雷の力に切り替えて太鼓を展開した。
竜の口が大きく開き、黒紫の禍々しい炎が桜鬼へと広がった。それを太鼓の雷撃のバリアで防ぐが、炎の熱がバリアで別れた左右から凄まじい温度が桜鬼を炙るように焼いていく。
やがて炎が線のようにまとまっていく。出力を増し、熱線となったそれは雷のバリアを押し戻していく。
「耐え、られ、ねぇ…!」
バリアが弾け飛んだ。察知していた桜鬼は棍棒の両端を持って受けに使ったが、やがて持ち手にも熱が伝わって持てなくなるだろう。
だが熱線の熱よりも早く、影が棍棒を侵食していく。棍棒を伝わってやがて掌にまで侵食が及ぶが、神の力でなんとか肉体への侵食を防ぎ、押し戻す。
「雷でダメならこっちだ…!」
風の力にまたもや切り替え、今度は強い風の力を持って炎を散らす。収束された熱線の力は強かったが、それでもなんとか威力を低減させることが出来た。
棍棒を残して、桜鬼は跳んだ。
追って竜も熱線を桜鬼に向けるが、今の桜鬼なら空中でかわすのは容易だった。熱線を中心として螺旋を描き、竜に接近していく。
ある程度近寄った所で雷の力にまた切り替える。今度は太鼓を竜の目の前に出し、雷の力を引き出してフラッシュのように閃光を放つとたまらず竜は熱線を中断し目を閉じた。
「棍棒が使えなきゃ…こうするまで、だァ!!」
竜が光に怯んでいる隙に、思い切り振りかぶり、鬼としてあらんかぎりの力を込めて竜を殴りつけた。
が、竜は閃光から立ち直り、ギロリと黒光りする目は振り下ろされた桜鬼の右拳を的確に見て捉えていた。
「な──」
瞬間、竜の口がぐわっと開かれ桜鬼の右腕を捉える。肘から手首の間を大顎でくわえるように強く噛んだ。
「こい、つ…!」
ワニ等の大きな顎を持つ動物に噛まれた時、恐ろしいのはその全身の筋肉を使って、顎で捉えた相手を本体から引きちぎってしまうことにある。桜鬼はそんなことは知る由もないが、食われる右腕の痛みに耐えながら本能的に腕を千切られまいと首に巻きついた。
しかし竜の目当てはそんなことではなかった。再度口の端から炎がほとばしる。熱を感じて桜鬼は焦った。
「しまった、離せ!このや…」
桜鬼の腕をくわえたまま、竜は炎を吐いた。腕が焼かれ、さらに竜の力の源である影が徐々に腕へと上がってくる。
「う、わぁぁぁぁーッ!」
一瞬間を置いて襲い来る痛みに絶叫した。
鬼の潜在的な防御力があるため、すぐに骨になったりすることは無いが、相手が悪かった。ジワジワと焼かれる桜鬼の腕からは焦げる肉と滴る血の匂いが混ざりおぞましい匂いが漂った。
「やめろーーッ!!」
もはやなりふり構わずに叫ぶ。桜鬼の宝玉三つが輝き、衝撃波を放つ。
たまらず咆哮した瞬間に桜鬼は腕を引き、首を蹴って飛び上がり、竜から離れる。
炎の陣羽織を纏って全ての力を解放した姿の桜鬼だが、腕の深刻なダメージに顔は苦痛に歪んでいた。
浄化作用を持つ炎の力で肘より下で影は押しとどめられているが、もう使い物になりそうもなかった。
「まだ…まだやれる!」
これまでの戦闘の疲労を押し隠し、最後の力と言わんばかりに
だがそれは傍から見れば、追い詰められた必死さからの、やけくそ以外の何物でもない。ゼツが思わず叫んで止める。
「やめろ、冷静さを欠くな!戻れ!」
だが桜鬼は止まらず、左拳で殴りつける。自力で動かせない右腕も、風と炎でなんとか拳の形にして打ち出す。
竜はうっとおしいと言わんばかりに腕と尻尾を振るうが、桜鬼は巧みにかわす。熱線も放たれるが、髪の毛一本、着物の切れ端が受ける程度で当たらない。
上へ下へ。雷や炎の力で飛んでは殴り、蹴り込む。風もかまいたちのように鋭く、頑丈な竜の皮膚に傷をつける。
「どうだ、どうだ、どうだ!!これなら──」
その時竜の宝玉が光った。
さらに竜の鎧からも光が溢れ、衝撃波が辺りに駆け巡る。至近距離で放たれた衝撃波を桜鬼は全身で浴びる形になってしまった。
地面を擦るように桜鬼が後方へ押しのけられる。
ついに力尽きたか、仰向けになると荒い息をついてとうとう指先一本すら動かない。炎の陣羽織も、雷の太鼓も、風の布もすうっと消えて元の姿になってしまった。
「ま、だ…まだだ、俺は、お前を──」
なんとか上体だけでも起こそうと試みるがダメージがそれを許さない。右腕の影も再び、ゆっくりと侵食を開始する。
(ここまで、なのかよ…!)
桜鬼はぎゆっ、と目を瞑り最後の一撃に備え──
だが突然竜の動きが止まった。止めが来ると思って目をつぶった桜鬼はゆっくりと目を開いた。
竜は一歩ずつ桜鬼に向かって歩いてくるが、その速度はかなり遅かった。体からは湯気が立ち上っているだけではなく、何故か溶けて液体となった竜の体の肉が滴り落ちる。
「何が、起こって…る…?」
突然の異常に桜鬼は震えながら上体を起こした。
一体、何が起こったのだろうか……
「むむ、ここが限界点か」
楽しげに殺し合いを眺めていたロームが表情を曇らせる。
「限界点?どういう事だ!?」
今だ激高状態のフォウルが問い詰める。ロームは竜を指さして答えた。
「空世にいるのは化け物とかそういうのばかりじゃない。アイツ…ナレフとかいう奴はあくまで普通の人間。人の肉体にあの力が耐えられると思う?」
ゼツはピンと来た。
「そうか、キャパオーバーの力にナレフの肉体が耐えられて無いんだ、あまりの力と熱線の熱量が収まり切らず、中から溶けだしてあぁなってんのか…!」
その言葉にギョッとしてフォウルがゼツに顔を向けて問いかけた。
「すると…ナレフさんはどうなる!?」
「言わなくても分かるだろ!溶けるか、それとも先に爆発するか、いずれにせよ跡形もなくなっちまうぞ!」
その言葉に二人は攻撃を中断して今度は檻に向かった。藤の矢によって空いた穴がないか探して走る。
「桜鬼ーッ!なんとかソイツ止めろ!そのままだと、救う手立てすらなくなっちまうぞーッ!」
ゼツは叫んだが、とうの桜鬼は蓄積したダメージで体が動かない。
突如として訪れたタイムリミット。
ゼツは、フォウルは、そして桜鬼は。
果たして変わり果てたかつての友を救えるのだろうか──
To be continue…
鬼桜記 アゼル @AZELL
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