Chapter 4-2
「絹枝っち、体調大丈夫?」
「うん、大丈夫」
無事に登校してきた絹枝のもとに、心配していたクラスメイトたちが集まっていた。
「ほらお前ら、鞘上は病み上がりだぞ。わかってるのか?」
そこへ、教室へやってきた赤羽が声をかける。群がっていた生徒たちは、なおも心配げだったが、予鈴も鳴ったことで自席へと戻っていった。
「ふぅーっ。気を遣うのは大事だが、もっと相手のことを考えて――うぉっ!?」
苦言を呈そうとした赤羽だったが、その言葉は突如として起こった振動によって遮られた。
地震。
「全員、机の下に潜れ!!」
赤羽の言葉によってか、それとも防衛本能によってか。教室の全員が慌てながらも、身の安全を確保しようと動き出す。
揺れは次第に強く、激しくなっていく。
脳が揺れ、三半規管が揺れ、上下左右の感覚がなくなっていき――
そして、意識が途切れた。
※ ※ ※
「あーあ。壊れちゃった」
給水塔に腰かける少女は、頬杖をつきながら眼下を見下ろしていた。投げ出した足がぶらぶらと揺れる。
少女が見下ろす先、屋上には倒れ伏す少年――樋野秋森の姿があった。彼は大量の鼻血を噴いて、こと切れているかのように気絶していた。
「しっかし派手にやらかしたねー。うわ、教室のなかぐっちゃぐちゃじゃん」
少女は眼下の景色を見渡す。コンクリートの壁の向こうが、彼女の眼には視えていた。
「あ」
やがて少女は、一人の女生徒の姿を見つける。
「やっぱり生きてたか。さっすが、しぶといねぇ」
ギン、と彼女の左目が妖しく光る。するとそれに呼応してか、女生徒の右目が光り、彼女が意識を取り戻す。
「さあ、おいでよ。かわいがってあげるからさぁ。――お姉ちゃん」
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