Chapter 3-5
自室に戻った朔羅は、そのままベッドに倒れ込んだ。バフっとスプリングで身体が跳ねる。
と、ここでトントンと窓を叩く音がした。カーテンを開けてみると、そこには首輪を付けたカラスがいた。
同時にスマホが鳴る。京太からの着信だった。
「もしもし?」
《よう。元気そうじゃねぇか。んで、言い訳はあるかよ》
「……なんのこと?」
《しらばっくれてんじゃねぇ。これはウチのシマの問題だっつったろうが》
「……別に、言い訳なんかないもん」
朔羅は頬を膨らませる。
《……ま、いいさ。お前らのおかげであの三人も命拾いしたみてぇだしな。あの樋野って野郎が超能力者だったのは予想外だったぜ》
「見てたの?」
《いや。『眼』からの報告を聞いただけだ。細けぇことはまだよくわかってねぇ。詳しく聞かせろ》
「……別にいいけど――はっ!! ……高く付くよ?」
《じゃあな》
「待って待って待って! 冗談だから! 話すから、京太君もなにがあったのか教えてよ」
電話を切ろうとした京太を引き止め、朔羅は詳細を話し始める。
「……それであの三人を追いかけていったら、大きな振動が起きて、中に突撃したら……」
《樋野だけが立ってたんだろ? その辺のあらましは聞いたぜ。野郎とガチって逃げられたってこともな。ヤツの行方はこっちでも追ってる。見つけたら知らせてやるよ》
「ん、ありがと。それで赤羽先生がサツキさんの弟ってことがわかって、帰ってきたらシオン老師がいて、絹枝ちゃんがサツキさんの娘さんってこともわかって……」
《……へぇ。じゃあその絹枝ってのと先生は叔父と姪ってことじゃねぇか》
「あ、そっか。そうなるよね。なんかよそよそしかったから、初対面っぽかったけどね」
《ま、そういうこともあんだろ。で、そのシオン老師ってのはまさか》
「そうそう! 五大英雄のシオン・クロスロード老師! でねでね、シオン老師って猫さんだったの!」
《……は?》
そうして朔羅が話し終えると、続いて京太が話し出す。
《魔神が再誕する前から、俺たちは『ラグナロク』っつう新しいクスリの出処を追ってた。『黒翼機関』の野郎から鷲澤に渡って、鷲澤がガキどもを使ってばら撒いてたっていうのはわかったがよ、その先がまだ追えてねぇ。んで、あの三人が売人をやってたことを掴んだから、ちょいとヤキ入れさせてもらったってわけだ》
「え、あの人たちが……!?」
《ああ。ヤツらは鷲澤に肩入れしてた魔どもだ。鷲澤のジジイがいなくなって、後ろ盾もクスリもなくなっちまった結果、ああいうカツアゲだのに手ぇ出してたみてぇだな》
「ふーん、そういう……」
《ヤツらには明日、ウチのもんが話を聞きに行く。お前らは樋野を頼む》
「……ん。おっけー」
《……なんか、嬉しそうじゃねぇか》
「そう? べっつにー」
《まあいいけどよ。じゃ、気を付けろよ》
「うん。京太君もね」
通話を終えると、朔羅は再びベッドに寝転がる。
そしてそのまま、深い眠りに誘われていったのだった。
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