Chapter 4-5
シュラの足元には屋上の床全体に懸けて描かれた魔方陣があった。円のなかに確かな規則性を以って羅列された文字と記号の意味は彼にしか分からない。
白のチョークで描かれた魔方陣は、魔力を装填すれば青白く輝く。その中央には、横たわる少女――空の身体があった。蛇に絡み付かれたままの彼女は、未だに意識を取り戻していない。
「待ちな」
突如としてかけられた声に、シュラは顔を上げた。眼前に迫りくる刃の一撃を、シュラはその一瞬だけで避け切ってみせた。だがその一瞬の間に、空の身柄を奪われてしまう。
シュラが身を起こす最中に、刀を鞘に仕舞う音がする。彼に刃を向けた人物は空の身柄を回収していた。
整髪料で逆立った髪、研ぎ澄まされながらもどこかあどけなさを残した顔立ち。身に纏うは血染めの装束、手にする獲物は大太刀。その瞳は紅く燃えるように染め上げられていた。
「扇空寺、京太」
京太はシュラには目もくれず、抱きかかえた空の身体をゆっくりと降ろす。それまで気を失っていた空が目を覚ます。空の覚醒に気付いた京太は、彼女へ優しく微笑んで見せた。
「遅くなっちまったな。助けに来たぜ、空」
「京、太……?」
空を庇うように自分の背後に寄せ、京太は元凶と対峙した。
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