第8話(完結)
「早く着替えて、食堂においでよ」
と、部屋を出て行こうとした。
いつでも姿勢がスッと伸びているおかげで、同じ身長のはずなのに自分より背が高く見えるその背中に向かって、
「なあ、
「うん。踊れるよ」
アテがはずれた
「は? マジでぇ?」
「去年、バチカンから
「はあああ?
「そう言われてみれば、……そうだねぇ?」
と、
「でも、ホテルが一緒だったアメリカの精神医学の教授が、会議の後の夜会に備えて念のため覚えておいた方がいいって。教えてくれたんだ」
「オマエ、気をつけろよな! ティーンエイジャーにホテルの部屋でダンスの個人レッスンしようなんてオッサン、マトモじゃねーだろ、どう考えたって!」
「でも、その教授もティーンエイジャーだったし。なんなら、ボクより1つ年下だったよ」
「あ、そ」
「とにかく、
「そうだね。ありがとう」
「ワルツを踊りたいのなら、いつでもボクがリードしてあげるよ、
あいかわらずの浮き世ばなれした無邪気さで、
「夢の中では、オレのほうがリードしてたのに。なあ?」
と、手の中のフィギュア人形に向かって、こっそりボヤいた。
神秘的なアルカイック・スマイルをのぞかせたような、気がした。
===オワリ===
陰陽師は踊る こぼねサワァ @kobone_sonar
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