別れ
強い風が吹いている。俺は加賀谷に笑いかけた。
「じゃあな、加賀谷。俺がいなくなっても泣くなよ」
「……泣かねーし」
といいつつ、ごしごしと目を袖で吹く加賀谷。可愛い。
「ラインしろよ」
「するよ」
「俺もするから」
ん、と加賀谷が手を差し出してきた。
「握手」
「ふふ、なにそれ」
と言いながら、加賀谷の手を握る。温かさが伝わってくる。ぽたり、と加賀谷の涙が俺の手に落ちた。加賀谷の手を持ったまま、それを口元に持っていって口に含んだ。
「!?」
という顔で加賀谷が見ている。
「見たか、俺の愛を」
「俺のこと好きなの?」
「友達としてな」
校庭を歩いていく。振り返ると、加賀谷が大きく手を振っていた。俺も振り返す。これきりにはしたくはなかった。ひとまずの別れ。風が吹いていた。
若葉の短編集 はる @mahunna
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。若葉の短編集の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます