第8話 期待通りのハッピーエンド
◇◇◇
その後屋敷に戻ったチャールズは、号泣しながらライラに縋りついている弟の姿に唖然とする。
「ライラ!どうして僕じゃダメなの!?結婚してくれるって言うまで離さないからな!」
「坊ちゃま。それは出来かねます。いい加減離してください」
「じゃ、じゃあ僕と結婚してくれる?」
「できません」
いつのまにか、弟までライラにすっかり夢中になってしまったようだ。まだ出会って一カ月だというのに!このままでは、弟が最大のライバルになってしまう!
そう思ったチャールズは思わず叫んだ。
「だ、駄目だっ!ライラは私がずっと想っていた相手なんだっ!ライラ!愛している!私と結婚してくれ!」
突然のチャールズの登場に、目を丸くして驚く二人。
ライラの全身がかあっと真っ赤になった。
「こ、困りますっ……わ、わたくしは、公爵家のメイドですのでっ!」
ものすごい速さで逃げていくライラを、呆然と見送る公爵家の兄弟二人。
「……兄上、ライラのこと好きなの」
ジョシュアはぽつりと呟いた。
「ああ、もう何年も片想いしている。本当は貴族学園の卒業と同時に婚約を申し込む予定だったんだ」
兄の言葉にジョシュアはようやく合点がいった。おそらくライラは、
だって、あんなに真っ赤になって動揺したライラは、初めて見るから。きっとライラも、ずっと兄上のことが好きだったんだろうなと、ジョシュアは勝手に解釈する。
悔しいけど、何もかも優秀な兄上にはとてもかないそうにない。それに、大好きなライラが姉上になってくれるなら、これからもずっと一緒にいられるだろう。
(それもいいな)
ジョシュアは涙をぬぐい、ふうっと小さくため息をついた。
「兄上、頑張ってね。僕、二人のこと応援してるから」
そういってあっさりと引き下がった弟を、不思議そうに見つめるチャールズ。
(でも、ライラも兄上も鈍いから、まだお互いの気持ちに気付いてなさそう。もしかしたら僕にもまだチャンスはあるかもね)
ひらひらと手を振りながら去っていく弟を見送ったあと、チャールズは慌てて逃げたライラを追いかける。
このあと二人がどうなったかは。
皆さんのご想像にお任せしようと思います。
多分、期待通りのハッピーエンド。
おしまい
公爵家のメイドさん~王妃様付き護衛騎士から公爵家の専属メイドにジョブチェンジしたら、なぜか氷の貴公子から迫られて困っています~ しましまにゃんこ @manekinekoxxx
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