第9話 アズル国


(きれい)


アズル国の第一印象であった。


国内の至る所に水路があり、船で移動している人もいた。


それなのにも関わらず、水が透き通っており、国民が国を大切にしていることが一幕さんにわかる。


ライベルトは、王都という雰囲気であったが、アズル国は城下町が発展しているという感じ。


(ここにきてよかった)


今までは、自分のために時間を使えていなかったが、今は違う。


誰かのために力を使うというのは一緒だ。でも、前よりも自分の行きたいところに向かうことはできる。


今回こそ、依頼のためにアズル国へと来たけど、それもいい体験だと思えた。


だが、それ以上に噂で聞いたことが頭によぎる。


(本当に、この国はデットワルツと関わっているのか?)


おれが疑問視していると、隣に立っているセナが話しかけてきた。


「どうしたの?」

「いや、きれいだなって思ってさ」

「そうには見えないけど......」


その言葉を聞いて、少しドキッとしてしまった。


(顔に出ていたか?)


そこで、バレないように両手を横に振りながら言う。


「いや、本当に思ってたよ」

「本当に?」

「あぁ」


実際にアズル国の中へ入った時、思っていたことだから嘘では無い。


すると、セナはホッとした表情をしながら言った。


「そっか。よかった!!」

「二人とも、そんな真剣な顔して何話してるの??」

「いや......」


俺が口籠もってしまった時、セナが助けに入ってくれる。


「さっきまで、アズル国が綺麗だなって話をしてたんだ!!」

「二人にもそう思ってもらえたら嬉しいわ」


アイラの言った言葉を聞いて、俺は納得してしまった。


(本当にこの国が好きなんだな)


もし、この国が嫌いであれば今みたいな発言はしない。


そうなったのは、紛れもなくアズル国民たちのおかげだろう。


まず大前提として、婚約者が悪い人であればアイラはこの国が嫌いだと思う。だが、そうではない。


そして、ここまで満面の笑みで言ってくることから、心底アズル国を好きなのがわかる。


だとしたら、アズル国民たちの対応が素晴らしかったのだろうと思った。


(ここからは、アイラに任せよう)


今後の行動をアイラに任せると、まず最初は飲食店に連れて来られて、中に入った。


すると、おばさんの店員が驚いた表情をしながら、こちらへ近づいてきた。


「アイラ様、お久しぶりです」

「久しぶりです。ユーラさん」

「そちらのお二人は??」


首を傾げてきながら、尋ねてきた。


「私の友達」

「そうですか。少しアイラ様に言いたいことがあります」


真剣な顔をしながら、アイラにそう言った。









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魔眼の英雄〜「無能の雑魚」と勇者パーティを追放されたので、勇者の裏側で英雄として成り上がる。え?今更戻って来いと言われてももう遅い。 煙雨 @dai-612

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