7-3(完結)
そこは、中世風の
吹き抜けの舞踏ホールのド真ん中に、双子は立っていた。
窓の外は、あざやかな緑の森が広がっていて。
木漏れ日が窓ガラスを通して、まばゆく透きとおった光彩をキラキラとふりそそぐ。
周囲には、舞踏会のゲストたちが、浮かれた声で談笑をはずませている。
黒い蝶タイにダークカラーの
とたんに、双子の衣装も、洗練された
同時に、ザワザワとしたアイマイな人いきれだけがBGMだった舞踏ホールに、突如としてフルオーケストラの音楽が鳴り響きだした。
ハチャトゥリアンの『仮面舞踏会』……
「スゴいな。
「っても、夢の"資材"は全部、
「じゃあ、僕が想像力をはたらかせれば、もっとスゴい景色も見られる?」
「もちろん! どんなブッ飛んだ世界だって見せてやるよ」
赤みがかったトビ色の大きな瞳を、子供のように無邪気にキラめかせながら、
―――自分自身の夢を見れないのは、皮肉だけどな……
と、こっそり自嘲しながら。
双子の兄のその心の声に答えるように、
「夢を指揮するのが、キミの
と、
「目を覚ますのがイヤになっても知らねーぞ?」
「それは、ちょっと困るかな」
壮麗なメロディーの中、美しい双子の兄弟は、真っ白くツヤめく靴を踊るようにはずませながら、華やかに笑いさざめくウサギたちの間を軽やかに走り抜けていった。
=== オワリ ===
夢迷宮のウサギたち こぼねサワァ @kobone_sonar
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
契約不履行/こぼねサワァ
★15 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます