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概要
その暗闇は私を惹きつけてやまない。
ある夏のことだ。ゼミ室での飲み会帰り、限界まで酔っ払った深夜だった。等間隔でチカチカと光る電灯から電灯へと、覚束ない足元を引き摺り部屋へと戻ろうとする最中、急に目の前に暗闇が広がった。何事かと驚いたがなんてことは無い、私の目前に立つ電灯が切れたようだった。次の電灯までは数メートルの距離がある。光が届かない暗闇は黒く染まり、先の方にある光の中で飛んでいる虫たちがキラキラと光って見えた。その輝く空間に向けて一歩を踏み出そうとした次の瞬間、ふと下を見てギョッとして固まってしまった。
足元にあるのは、真っ黒な穴だった。目の前の暗闇を凝縮して尚足りないような黒さが、まあるく道に広がっているのだった。
執筆者:千矢 彩乃
足元にあるのは、真っ黒な穴だった。目の前の暗闇を凝縮して尚足りないような黒さが、まあるく道に広がっているのだった。
執筆者:千矢 彩乃
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