ぶっ飛んだ馬鹿
登美川ステファニイ
ぶっ飛んだ馬鹿
爪で引き裂かれた右脇から冷却剤が漏れ、生体電池も損傷し電圧が見る間に下がっていく。直に全ての機能が停止し、俺は死ぬ。
「お、おい。お前……前にも見たぞ」
タイガーと呼ばれる賞金首は上半身だけになった俺に話しかける。
「な、何度も来たな。ぶっ飛んだ、ば、馬鹿だ」
うるせえ。元はと言えばてめえのせいだ。
死んだ仲間のパーツで修理したこの体だが、復讐を果たせずに終わる。
テセウスの船なんて言葉を思い出す。親父とお袋がナニして生まれた体が機械になり、その大半の部品が仲間のパーツに置き換わっている。俺は本当に俺か?
「さ、さよなら」
爪が振り下ろされる。
おっと、まだ俺の部分があったぜ。ぶっ飛びな。奥歯の爆
ぶっ飛んだ馬鹿 登美川ステファニイ @ulbak
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