第6話 探索開始

 しばらく様子をうかがっていたものの、館に入った人々が中で一体何をしているのか、外から観察している分には何も分からない。本来ならもうここで引き返しても良かったものの、一度火の付いた好奇心を消す事は出来なかった。

 彼らが館で何をしているのか知らねばならない――そんな使命感が俺を突き動かす。周りを見渡し、耳を澄まし、気配を消しながら、少しずつ玄関のドアに近付いた。


 取手を持ってそのまま手前に引くと、ドアは呆気なく開く。その先にあったのは暗い空間。電気が通っていないのだろうか。多分廃屋であろう洋館は、まるで全てのエネルギーを吸い込んでしまいそうな不気味さがあった。


「本当に、ここに人が入っていったのか?」


 俺は少し前に自分が見た光景を疑う。その暗い室内には人の気配が全くなかった。耳を澄ませても屋内からは何の音も聞こえてこない。ここまで静かだと、足音や咳払いなんかで何かしらの音が耳に届くはずなのに――。


「何なんだ……?」


 あまりの人の気配のなさに俺は首をひねる。不気味な気配は俺の足をすくませた。それでも一歩を踏み出して、土足のまま廊下を歩く。不法侵入になちゃうのかなこれ……。

 俺は意味もなく顔を振り回して、周囲を確認しまくった。今のところは鬼も蛇も出てきてはいない。


 何となく勢いで入っちゃったけど、これからどうしよう。



 ちょっと探索してみよ

 https://kakuyomu.jp/works/16817330648988682894/episodes/16817330649030477182

 怖いから帰ろかね

 https://kakuyomu.jp/works/16817330648988682894/episodes/16817330649031214619

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