第7話 最初の事件発生
俺は膨れ上がる好奇心を抑えきれずに歩き始めた。廊下は不気味なほど静かで、自分の足音だけが響き渡る。不法侵入の罪悪感も伴って、変に鼓動が早くなっていた。
1階にはいくつかの部屋があり、俺は気配を殺しながらひと部屋ずつ確認する。
「どもぉ~……」
ドアを開けた俺の目に飛び込んでくるのは無人の部屋。調度品はそのままで、何故かどの部屋も綺麗に片付けられていた。外観からは廃屋にしか見えなかったのに――。
「やっぱり人が来るから、前日とかに掃除してたとか?」
俺は部屋がキレイな理由をそう推測する。ただし、その肝心の客人がどこにもいない。この洋館には二階もあるから、全員がそっちに行っているのかも知れない。
俺は探索を続けながら、一階に人がいないのは実は幸運じゃないかとも思えてきた。だって、先客がいきなり勝手に入ってきた俺を見つけたらどう思うだろう。下手したら警察沙汰になってしまうかも知れない。
「なんか、マジでヤバい事してるな……」
好奇心より恐怖が重くなってきて、俺は思わず足を止める。無邪気に冒険を楽しんでも許されるのは、多分小学生までだ。高校生になってまで何をやっているんだ。
怖くなった俺は思わず顔を左右に振る。そして、周囲に誰もいない事を確認して胸をなでおろした。
「あの部屋を見て満足したら帰ろう……」
俺は最後に一階の一番奥の部屋のドアを見つめていた。如何にも怪しげな雰囲気が漂よっていて、絶対部屋の中には何かがあるとしか思えない。俺の勘は当たり外れが激しいから、確証は持てないけど。
でもだからこそ、あの部屋に何もなければあきらめも付くと強く意気込んだ。
俺は息を殺して、ノブに手をかける。そしてゆっくりと慎重にドアを開けた。鍵はかかっていなかった。そして、恐る恐るその部屋の中を確認する。鬼が出るか、蛇が出るか、それとも――。
「あはは、やっぱだ~れもいない……」
俺はその奥の広い部屋を見て、長い長い溜息を吐き出す。その部屋はダンスホールのような多目的広場になっていた。パッと見で動くものの姿を確認出来なかったため、誰もいないと思ったのだ。
けど、部屋に一歩踏み入ったところで、そう思ったのが間違いだった事に気付く。
「あれ?」
そこには明らかに無機物ではない何かが床に転がっていたのだ。そこに焦点を合わせた時点で、床で微動だにしない有機物の正体が判明する。
「ひ、人が倒れてるゥーッ!」
俺はいきなり目に飛び込んできた非常事態を前に、平常心を失っていた。ヤバいヤバいよこれ。一体どうしたらいいのこれ。第一発見者って俺になるのこれ?!
気になったので死体を調べる
https://kakuyomu.jp/works/16817330648988682894/episodes/16817330649030603735
ヤバいんで一目散に逃げる
https://kakuyomu.jp/works/16817330648988682894/episodes/16817330649031168344
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