第5話 鎖の戦士

第5話


『ふ〜ん、カッコつけるねェ〜?でもさァ〜この数に勝てるのかァ〜いィ?』

「勝てるさ。だが、一旦その前に………」

「きゃっ!?えっ、えっ!?」


い、いきなり何で抱き抱えるの?


し、しかも、お姫様だっこ!?


こんなの、む、昔幼馴染にされたと、時以来なのに………


「取り上げず、逃げる!」

「え、えぇっ!?」

『────嘘でしょ!?お、お前ら、早く追いかけて!!!』


真夜中の校舎を、見知らぬ男の人に抱かれながら駆け抜ける私。


てっきり、今からドンパチすると思っていたので思わず絶句してしまう。


あのクマちゃん達ですら、素っぽいのが出てる始末だ。


「ほら、俺に追い付いてみろクマちゃんズ、いらラリックマ共!!」


ラリックマ、ラリックマかぁ………


何かしっくりくるなぁ………


『くゥ〜何処まで逃げてもォ〜無駄だよォ〜侵入者ァ〜!!!』

「ははっ、追いつけそうにもない鈍重なその足でよくほざくな、傑作だよ!」


そう朝発しながら、彼は周囲から鎖を飛ばしていた。


だが、その鎖は見た目の割には………


『こんな物ォ〜効かないよォ〜?』


簡単にラリックマちゃん達の刃物で斬られたり、巻き付けたとしても、直ぐに破壊されて解かれていた。


「全然効いてないじゃないですか!あんな痛いカッコつけ方したのに!」


したのに!!


「うるさい!俺は何処ぞのビガビガ野郎みたいにスロースターターなんだよ!」

「遅すぎません!?何かさっきから鎖が破壊される音しか聞こえないんですけど!?」

「知ってるよ!いつも最初はこうだしな!」


だが、彼は微笑った。


さっきから煩い位に放った鎖が壊されてるのにも関わらずだ。


そして、彼は────


「そろそろ廻る、聞いてくる頃だ。」

「それはどういう………」

「見りゃ解るさ。ほら、見てみな?」


彼が私を抱いたまま、ラリックマちゃんの方を向く。


すると、其処には────


『痛い!何で俺に!?』

『前?後ろ?右?左?上?下?』

『視界が可笑しい!?何で!?』

『私だけ何で宙に!?』

『あれ、何で僕は左腕で刃物を?』

『気持ち悪い!誰か助けて!!』

『目が、目が回る………』


混乱し、仲間も含めた周囲への攻撃を始めるラリックマちゃん達。


それを防ぎながらも、オリジナルらしきラリックマは彼を睨みながら………


『一体、何をした!?』

「おいおい、キャラ付けが壊れてるぜラリックマ?それにや、ママに教わらなかったのかな?」


────彼は嘲笑う様にこう告げた。


「見知らぬ物には、手を付けちゃいけませんってな?」

『────あの鎖かぁ!!!』

正解That's right♪まぁ、気が付いた所で、もう手遅れなんだがな………」


そう言った所で、頬を掻きながら「まぁ、それまでは鎖を滅茶苦茶壊されるから、マトモに戦えないんだけど。」と、恥ずかしそうに呟いていた。


だから、逃げながら鎖を放ってたんだ………


「さて、そろそろ自滅タイムは終わりか?」


彼の言われた通り、オリジナルっぽいラリックマ以外が自滅していた。


綿と布で出来ている癖に、血で真っ赤に染まっていて………


「うぅ………」

「あんまり見るな、吐きそうなら離れて窓の外にでも吐いてな。俺からこれから最後の奴との戦闘に集中するから、何も聞こえないだろうしな?」

「あ、ありがとうございます………」


本当ならトイレで吐きたい。


でも、一人になるのは嫌だ。


多分、嘘な気もするけど、今は甘えておくしかない。


☆☆☆


???side


「さて、まだ立てるかラリックマ?」

『くッ〜〜〜当たり前だよォ〜〜それにィ〜この変な感覚にも慣れてきたァ〜しねェ?』

「当然だ。どんな感覚も、長く続けば慣れる物だからな。」

『ちっ、カッコつけるのも大概しな!お前の柔い鎖なんざ効かっ────』

「ん?何か言ったか?」


ラリックマが何かほざこうとした瞬間、鎖を叩き込む。


そしたら、黙ってしまった。


威力が高すぎたかな?


『な、何で………』

「俺はスロースターターでな、威力も硬度も後から追い付いてくる面倒な質なんだよ。」


さぁ、此処から先は………


「第2ランウドと行きますか!」


続く

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アナザーワールド 〜ようこそ、君の世界の裏側へ〜 クロスディアⅡ @crossdia

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