第4話 増える敵、来る救世主

第4話


『うわぁぁぁ、誰、か、助け────』

『嫌っ!やめ────』

『あははは!あはははは!!私、ニンゲンジャナクナッチャッタ♪』


悲鳴が、色んな人の悲鳴や断末魔が、脳内に次々と木霊していく。


全員、最初に殺られた人の様にクマちゃんに殺され、彼らの仲間へと変貌していく姿を何度も見せられた。


その度に、嫌らしい声でアナウンスも響いてくる。


ああ、キツい………


時間も解らなければ、何処にあのクマちゃんが潜んでいるかも解らない。


無駄に神経を擦り減らして、此方は焦燥していく一方だ。


『見つけ〜たァ〜よォ〜♪』

「きゃあ!!」


そして、遂に見つかってしまった。


もう、ガムシャラに逃げるしかない。


でも、このままじゃ………


『待て待てェ〜♪』

「待つ訳ないでしょ!これでも喰らえっ!」


廊下に大量に設置してある花瓶をクマちゃんに投げ付ける。


効くとは思わないけど、やらないよりは千倍マシだ。


『痛いよォ〜身体は綿と布なんだからさァ〜優しくしてよォ〜。』

「人に優しくない貴方達が言わないで!」


でも、少し怯んでくれた。


やっぱり、やらないよりは千倍マシだったみたいね!


────それなら!


「この廊下にある花瓶、全部喰らいなさい!」

『ちょッ〜やめてェ〜!!!』


無駄にある花瓶の全てを投げ付ける。


本当に何でこんなに在るかは解らないけど、助かったわ!


『やめっ、痛っ、破片、刺さっ!?』

「はぁはぁ、花瓶を投げるのも結構疲れるわね………」


でも、ちゃ〜んと効いてるみたい!


良かった、今の内に逃げないと!


『くゥ〜コレばっかりはァ〜き、効くねェ〜油断したよォ〜♪』


あれ?


何か言ってる………


いや、今は気にせず、逃げた方が………


『でも、追い詰めたよォ〜?』


えっ………


『あんなに派手にィ〜やったんだよォ〜?皆がァ〜気が付かない訳ェ〜ないでしょ〜?』

『見付けた!』


う、嘘………


『見付けた!』

『見付けたよ!見付けたよ!』

『獲物!』

『玩具、発見。』

『ディナータイムだぁ〜♪』

『げへへ、沢山遊べそうだなぁ〜♪』

『可哀想に、せめて一想いに殺して差し上げないと。』


か、囲まれた………


花瓶を沢山投げちゃったせいで、こんなにもクマちゃん達を呼んじゃったんだ………


も、もう駄目だ………お終い………


『ははッ♪君を消せばァ〜残りは二人ィ〜さっさと死んで♪死んで♪死んで、僕らの仲間にィ〜なっちゃいなッ♪』

「い、嫌っ!誰か、誰か助けてっ!」


こんな叫び、届く筈がない。


確実に私はクマちゃん達に切り刻まれるだろう。


そうやって蹂躙された挙句、私はあの怪物共の仲間入りだ。


嫌だ、そんなの嫌に………


「ああ、助けるとも。その依頼、この俺が請負った!」

「えっ………」


誰かの声が聞こえた。


私の願いを受け取ってくれた声が響いた。


その瞬間、空間に罅が入る。


その歪みは広がり、空を砕き、誰かが出てくる。


「お前が依頼人か。」

「えっ………」


それは男の人だった。


ちょっと背が低くて、何か子供っぽい人。


多分、私と同い年か年下なのかな?


「おっと、そんな事を聞いてる場合じゃなさそうだな。」

「きゃっ!?」


彼はそう言うと、クマちゃんの方へと振り向いて、手をかざす。


すると、周囲に何故か鎖の様な物が浮かび始める。


「おい、そこのクマ………クマの人形ども、来るなら来い。」


まるで、カッコつけるかの様に、本当にそうであるかの様に、こう告げた


「此処から先は、俺の独壇場セカイだ!」


続く




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