決着。
アデルが、RRAIのむかって右にたち、ザドが左にたつ。その間にジュドーが収まる。
「ジュドー、ツタが燃え尽きたわ、もう一度お願い」
「ああ、わかった」
「蔓延れ!!!」
ジュドーがもう一度右手をまるめ、開くしぐさをする。そのつたは徐々にRRAIにむかっていった。アデルが両手をひっかくようにして、右側のRRAIの逃げ場をなくす。それは巨大な巨大な重力の場のようだった。次にザドが左側に念力をおくり、ザドを両サイドから動けなくする。さすがのRRAIもそれで身動きがとれなくなったようで、
「うぐぐ」
とただ苦しんでいるだけだった。
「いまだ、いくよ!!」
「ああ」
「ああ!!」
ザドの叫びに二人が反応する。それはいつもの、クラックスのチームとしての戦いそのものだった。
「く、くそ!!」
RRAIは、何かをさとったようにジュドーをにらめつけ、その一人に攻撃、テレキネシスの勢いを定めた。
「うおおお!!」
その瞬間、ジュドーの前にザドがあらわれたかと思うと、こちらもどれだけ力をかくしていたのか、テレキネシスで同じ空間どうしの押し引きをはじめたのだった。
RRAI「くそがあああ!!」
ザド「くっ」
ザドが、再びオイルをツタにまく、片手でテレキネシスを使いながら、ライターを取り出し、火をつける。火はまたたくまにジュドーのツタに向かった。
「ボッ」
ツタはまだうごいていて、RRAIを目指して一直線にのびつづける。
「ここまでか……」
RRAIが目の前の動きに絶望してうつむきかけたその時だった。双方の間にあの黒い人影が現れたのだ。
「な、なんだ!?」
その瞬間、ジュドーの蔓延るツタは目標をうしなって左右にぶれた。そしてそれを勢いよく伝っていたザドの炎も行き場を失ってしまった。それはまたもやRRAIの脇を通り、その背後に飛んで行ったのだった。
「!!!」
RRAIは驚きのあまり一瞬言葉と思考をうしなったが、その黒いひとかげが巨大になり、ザドたちとの間を遮っているので、そのチャンスを見逃さなかった。
RRAIは、ESPリングを掲げ、独り言をつぶやく
「“頭の声よ、彼女を犠牲にささげます”」
そうして胸元から刃物を取り出すと、天高くかかげ、振り下ろそうとする。その瞬間、三人、アデルとジュドーとザドが勢いよく影をかきわけてあらわれたが予想していたかのように、片手で、左手に力をこめ、テレキネシスで3人すべてをふきとばしてしまった。そして勢いよく、刃物は振り下ろされた。
3人が再びRRAIに近づいていったときには、RRAIも力尽き、その後の運命をまるで、察知しているかのように、微動だにしなかかった。そして一言はなった。
「勝った、この次元の彼女は消えたわ」
その傍らで、彼女、レアは跡形もなく姿を消していた。
人間模倣者 ボウガ @yumieimaru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。人間模倣者の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます