対決
ジュドーはすぐにアデルに手を貸す。だが二人かかっても、RRAIの協力なテレキネシスには歯が立たないようだった。ジュドーはアデルの傍に行く前に小声で、ザドに耳打ちをした。
「俺のツタをもやせ」
ザドは自分の妹、レアのほうをみて、悲しげな顔とともに、きっと表情を整えて、小声でいった。そしてこぶしをにぎってたちあがった。
「今助けにいくから」
ジュドーは、アデルのすぐそばでテレキネシスで圧倒され、ふきとばされそうになりながらも、ザドがかけつけるやいなや、ツタをだして、左手の人差し指と中指で眉間に手を当て少し目をつぶると、右手をぐっとまるめ、次にひらいた。するとツタがはびこり、RRAIのもとに這うようにして迫っていった。
「おかしい……」
「え?」
レアの傍でRRAIがつぶやく。
「ジュドーは助けるはずがない、この次元、何か少し“ズレ”ている?」
RRAIは少しとまどったように、しかし力を相変わらず両手にこめ、テレキネシスで二人の男、ジュドーとアデルを数メートル先に押しとどめている。その間もツタははびこり、たちあがったザドは、さきほど手に入れたオイルをそのつたにまくと、自分の右手をさしだし、ライターにかざすと、ライターの火は意思をもったように、ツタにむかって直進した。
「いけっ」
目をつぶり集中する、ツタを伝って、勢いよくRRAIの傍へ、ツタは途中でRRAIのテレキネシスで一メートルほど手前におしとどめられていたが、火はそのままつきすすめ、RRAIのほほをかすめて飛んで行った。
「おかしい、おかしい!被弾するはずが……」
ザドは目を開ける、アデルに声をかけた。
「アデル、少しでいい、RRAIの邪魔をして、その隙に確実に火をあてるから」
そういわれたアデルは、全身に汗をかきながらも、声をはりあげた。
「よし!!まかせろ」
アデルは、両手をまるめひっかくようなポーズをとる。
「3,2,1でいくぞ」
「ええ」
「3,2,1!!!」
その瞬間、アデルはRRAIのいる空間をねじまげようとする、RRAIはとっさによけようとして、左にずれた。その瞬間。ザドはもう一度めをとじ、火を放った。
「ボオッ」
今度は先ほどより大きな日の塊が、RRAIのあたますれすれをとおりすぎていった。
「おしい、もう一度」
「ああ、コツはわかった、挟み撃ちにしよう」
そういって、アデルとザドは打ち合わせをする。RRAIは、頭から汗をふいていた。
(私の力も、もうそろそろもたない、ジュドーさえいなければ……)
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