第529話 こんな魔道具があるんだなぁ~
リヒトがいつまで経っても俺の頭を撫でるのを辞めなかったから、強制的に中断させた。
んで、取っていた宿に行き、部屋へと戻る。
部屋の中に入ると、リヒトはベッドにダイブ。相当疲れたらしい。
「そんなに強敵だったのか?」
「雑魚ですよ?」
「お前基準じゃなくて、リヒト基準で」
「それなら、まぁまぁだったかと。一人目は雑魚の中の雑魚でしたが、二人目はまぁまぁ。弱点わかればリヒトさんでも簡単に倒せました」
「へぇ~」
初めての一人戦闘だったし、俺が予想していないようなストレスで疲れたんだろうな。
今はゆっくり休んで魔力も回復しないといけないだろうし、そっとしておこう。
「それより、お前は大丈夫だったのか? 正体とか」
「問題ないと思いますよ。全然魔法出していませんし、簡単に肩を付けてきました」
それはそれで怪しまれそうだけどな。
そんな簡単に魔法を完璧に扱える未成年……って、ならないか?
「明日、どんな試験かはわからないが、チサトはどうするつもりだ?」
「あー、そっか」
ヒュース皇子から聞かれて、なんとなく明日の動きを考えてみる。
さすがに、ダンジョン攻略だったらついてはいけないよな。
そうなった場合は、俺も新しい魔法武器とかを探そうかな。
それと、もうそろそろ服を新調してもいいかも。
気に入ってはいるが、ずっと使っている、もっと高性能のものがあるかもしれない。
いいのがあるか、明日は見て回ってみよう。
「リヒト、もし何かお前も欲しい物があればついでに見てみるが、何かあるか?」
ベッドに沈んでいるリヒトに聞いてみると、ムクッと体を起こした。
こっちを見たかと思うと、目を輝かせる。
瞬間、俺の頭になにか、嫌な予感が走った。
「やっぱなっ――……」
「カガミヤさんが私に似合うと思う何かが欲しいです!!」
本当に、聞かなければ良かった。
※
次の日、無事にリヒト達を見送った俺達は、なんとなくアマリア達と共にツムリア帝国を見て回っていた。
試験内容的には見守ることは出来るかもしれないけど、そこまで過保護にならなくてもいいかなって感じで、エトワールに任せることになった。
「それにしても、人が多いなぁ」
「人酔いは大丈夫?」
「今のところは…………」
でも、長くいれば人酔いするだろうなぁと言うくらいの人数が街を歩いている。
今、俺達は、アマリアとアクア、俺とヒュース皇子の四人で店を見て回っていた。
昨日の夜は、グレール達も戻ってきて色々世間話をしたんだが、また二人はどこかに行ってしまった。
デートでも楽しんでいるんだろうと言う事にいている。邪魔をすれば凍らされてしまうから、余計なことは気にせず、自分のことをする。
「そういや、ソフィアは今一人で楽しんでいるのか?」
「そうじゃないかな。――――アクア、一人で言ったら駄目だよ」
今にも離れていきそうなアクアの首根っこを掴んで、アマリアが保護者している。
「ソフィアのこと探しているの?」
「探してない」
「ソフィアはあそこにいるみたいだが?」
ヒュース皇子が指さして言ってくるから、思わず何も考えずに見てしまった。
そこには、何かを物色しているソフィアの姿を発見。
「…………関わりたくないのに、気になる。ソフィアが見ている物が」
「なんとなく、わかるかも」
走り出そうとしているアクアを掴んでいるアマリアと目を合わせる。
「…………見てこようか」
「そうだね。面白そう」
ヒュース皇子が怪訝そうな顔を浮かべているけど、気にしない。
なんとなく、気になるんだよ。ソフィアが見ている物が。
と、言う訳で、突撃!!
「よっ」
後ろから声をかけるけど、気配に気づいていたらしい。
まったく驚きやしない。当たり前のように振り向いて、ものすごく嫌な顔を向けられた。
「何をしている」
「こっちの台詞。なに見てんの」
って、え?
「アクセサリー?」
意外にも、ソフィアが見ていたのはネックレスや指輪と言ったアクセサリ―だった。
まさか、興味あるのか?
煩わしいとか言って、何もつけないイメージだったんだけど。
「これは、ただのアクセサリーではない。魔道具だ」
「魔道具?」
あっ、本当だ。
よく見ると、アクセサリーの近くには、効果が書かれている紙が置かれていた。
一つ、手に取ってみる。
この指輪の効力は…………魔力増加?
「これは、付けるだけで魔力が少し増えるらしい」
「へぇ」
「だが、本当に少しだろう。期待は出来ん」
「店の人の前で言い捨てるなよ」
ほれ、店の人も苦い顔を浮かべているぞ。
「へー、面白いな――――ん?」
…………これ、リヒト気に入るかな。
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