第528話 エトワールって、何者?
なんか、合流したリヒトが何も言わずに俺の頭を撫でてくるんだが。
何を聞いても、一度腕を止めて離させても、すぐに俺の頭を撫でて来る。
流石に周りの人もびっくり。
俺も、びっくり。
ちなみに、俺達は動いていない。木の影に座っていると、エトワール達が来て、今の状況。
「…………エトワール、これは?」
「頑張ったご褒美が欲しいんだと思います。可愛いですねぇ」
…………頭を撫でられているだけだし、いいか。
「まぁ、いいや。それより、今回はエトワールもリヒトもクリアしたみたいだな。日を跨いで行うとは思っていなかったけど」
「魔力は時間が経たないと回復しないからね、万全の状態で試験に受けてもらわないといけないという、学園側の考えなんじゃない?」
「それもそうか」
でも、次も同じなのか?
同じことを繰り返しでするとは思えないんだが……。
「ヒュース皇子」
「…………」
「ん? おーい、ヒュース皇子??」
「…………よく、そんな状態で真面目な話が出来るな」
今もまだリヒトは、俺の頭を撫でているから、それを言っているんだろうな。
「感覚が麻痺しただけだ」
「大変な日々を過ごしていたらしいな」
「もう慣れた」
「お疲れさま」
「どーも。んで、明日の試験内容ってどんなのが来るかって予想できるか?」
聞くと、腕を組み思い出す。
うーんっと唸っているけど、例年とは動き方が違うのか? だから、すぐに思い出せない、とか?
「…………ダンジョン攻略か、教師陣とのチーム戦か。脱出ゲームか生き残りゲームか……」
「後半二つ、もうゲームと言っているが内容が絶対にゲームじゃないよな」
今聞いた中で一番可能性があるのは、教師陣とのチーム戦かな。
チーム戦ならリヒトの魔法も生かせるし、エトワールと組むことが出来れば確実にクリアが出来る。
「知里さん」
「どうした?」
というか、もうそろそろ禿げそうだからリヒト、辞めてほしいぞ。
流石におじさんとはいえ、禿げは悲しい。
「今回、面白い魔法使いがおりましたよ。少々性格には癖がありそうですが、戦闘能力はおそらくグレールさんくらい。もし、話してみて信じても問題なさそうな人なら、私達の事情を話して大丈夫でしょうか?」
エトワールの提案に、リヒトも含む全員顔を向ける。
「へぇ、エトワールが言うって事は、相当なんだな」
グレールくらいの強さか。
性格に難ありは考え物だが、実力は欲しい。
だが、性格に癖ありかぁ。
俺の周りの奴らに癖が弱い奴なんていないんだよなぁ。収集突くかな。
モヤモヤと考えていると、アマリアが手を上げた。
「名前は?」
「ルーク・ビジョンと言う方ですよ」
「属性は?」
「幻想っぽいです。あとは、炎の基本攻撃魔法を放っていました!」
アマリアに質問されて、声が一オクターブくらい上がったな。それはいいとして。
「幻想って、お前の夢属性とはまた違うのか?」
「また違いますよ。幻想の方が高度で、使い勝手がいいです」
へぇ、そうなんだ。
「夢魔法は、相手が意識を飛んでいる時に本領を発揮するのです。なので、起きている相手にはあまり効果が望めない。けれど、幻想は関係なく、相手を惑わせることができるので強いです」
「そんな違いがあるんだな」
似ているようで少し違う。
この世界には、いくつの属性が存在するんだろう。
調べるのめんどくさいから、絶対に調べないけど。
「幻想魔法使いで、炎属性の基本攻撃魔法を持っているのは強いね。確かに仲間にしたら、援助も前戦もいけそう」
「そうなんですよアマリア様!」
「しっかりと見極める目は曇らせないようにしてね。エトワールは感情に流されないから心配はしていないけど」
「はい!!」
…………ん? 感情に流されない?
今、アマリアに言われてめっちゃテンション上がって、自分の感情に踊らされているくらいにクルクル踊っているけど。
これで、感情に流されない?
「知里が思っていることはわかるけどエトワールって、あー見えて、僕より非道だよ」
「へ、へぇ……」
エトワールって、底が見えないなぁ。
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