第426話 そんな挙動不審な動きを見せられて黙っておくわけないだろう
体は疲れていたらしい俺は、しっかりと午後まで寝ていました。
今は、十三時ちょいすぎ。黒髪をガシガシ掻きながら、帰ってきたアマリアに昨日の約束を伝えた。
「…………え」
「え?」
「あー、そう。わかった」
顔を逸らした?
なんか、気まずそうにしているし、な、なに?
「それじゃ、僕は今日もまた単体行動させてもらおうかな。一人の方が気楽でいいし」
俺の返事を聞かないで部屋から出ようとする。
いや、そんな微妙な反応を見せておいて、逃がすわけないだろうが。
「待てや、何を隠してやがる」
「何も隠していないよ」
「なら、俺と目を合わせて言いやがれ。目を合わせろ」
頑張って目を合わせようとしているみたいだけど、焦点が合ってない。
ここまでこいつ、嘘を吐くの下手だったか? なんか、逆に得意分野かと思っていたんだけど。
「んで、何を隠してやがる」
「…………」
────ちっ、話さねぇか。どうすればいいかなぇ〜。
────ガチャ
おっ? 扉が開いた?
「んあ? 何してんだ、リヒト……と、あぁ……」
そこには、緊張しているリヒトと、約束していたアシャーが立っていた。
「失礼します」
アシャーが先に入って、何故かアマリアの方に近付いた。
「アマリアさん、昨日はありがとうございました。おかげで、お話の場を設けることが出来ました」
一礼をしているアシャーを見て、アマリアが頭を抱えた。
まぁ、抱えるよな。これか、隠したかったの。
「どういうこと?」
「昨日、アマリアさんにカガミヤさんの居場所を聞きまして」
「へぇ…………」
アマリアは、出来る限り俺から目を逸らしている。
俺に面倒ごとを持ってくるように仕組みやがったな?
居場所を教えたなら普通来るだろうが。こいつの性格上、どんな事をしてでも俺の元に来るぞ。
「確かに居場所を教えたけど、なんで城の中に入れるの? 普通、入ることすら出来ないじゃん」
あぁ、その算段だったのか。
だから、教えても俺に被害はないと思っていたわけね。
「私は、ロゼ姫の友人なんですよ。さすがに、立場が違い過ぎて数年以上お話すらできていませんが」
へぇ、なるほど。
ロゼ姫とアシャーでは、確かに身分が違い過ぎるか。
でも、ロゼ姫の性格だと、立場とか関係なしに接していそうだけどな。
俺みたいなただの冒険者の仲間になるくらいだし。
「そんなの、反則でしょ」
「聞かれなかったのでお答えしておりませんでした。でも、その方が私としてはいい方向に進んだため結果オーライです」
俺は、マイナスな方向にしか進んでいないんだよ。
いや、でも情報交換すればこっちに有益な情報もゲットできるかもしれないか。
そう考えると、卑屈に考えすぎなくてもいいかと思ってしまう。
「つーか、待ち合わせは図書館じゃなかったか?」
「待ち遠しかったです」
「…………今準備する」
「部屋の外でお待ちします」
話をそこで終わらせると、出入口にまだ立っているリヒトが視界に入った。
あ、あれ?
なんでそこから動かない? なんで、顔が青い?
「リヒト、どうした?」
「い、いえ。私、ロゼ姫様の友人に気楽に声をかけてしまったので……」
あー、なるほど、礼儀的な事を考えていたのね。
それなら、俺の方が礼儀知らずな態度をとっているから問題ないぞ。
「では」
「おう」
早く準備を整え、部屋を出る。
そのまま歩き、星屑の図書館に向かった。
※
まだ完全に直っていない星屑の図書館に到着。
こんな所で話し合いなんて出来るのか?
そう思っていたけど中に入ってみると、思っていたより綺麗で安心した。
まぁ、中までは被害なかったわけだし、すぐに直す事ができるか。
「中央の休憩スペースを利用しましょう。座っていてください、竜の魔法が書かれている歴史本を持ってきます」
「おー」
そのまま、二階に上がる。
俺とリヒト、アマリアは椅子に座って待機。
ちなみに、グラースにアクアを見てもらっている。
アクアからは見えないけど、何かあれば直ぐに報告に来るように伝えた。
アクアも、まだ眠そうだったし、今頃ベッドで寝ているだろう。
ぼぉ~としながら待っていると、アシャーがすぐに戻ってきた。
「では、話し合いを始めましょう」
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