第343話 次々なんだよこんちくしょう!
城から出てオスクリタ海底の中にある図書館、星屑の図書館に向かう。
そう言えば、しばらくアンヘル族の二人を見ていないな。
海底を見てくると言ったっきり、戻ってこないし音沙汰がない。
何か企んでいるとかないよなぁ?
企んでいたとしても、俺にプラスになるようなことで企んでくれ。
そんな事を思いながら歩いていると、すぐに星屑の図書館に辿り着いた。
中に入ると、人はパラパラといる。
空調もちょうどよく、薄暗いから目に優しい。心が休まる空間だ。
「えぇっと、竜魔法って、なんのジャンルの本を読めばいいんだ?」
魔法か? 魔法の本を読めばいいのか?
それか歴史か?
たしか、竜魔法って、魔法が生まれるきっかけとなった魔法なんだよな?
それなら、ただ、魔法の本を読み漁るより、歴史を辿った方が答えは見えてくるか?
魔法の歴史について書かれている本があるのかは正直わからんがな。
思いついたことだし、探してみるか。
魔法関連の本は、見取り図で見てみると二階。
二階のどこらへんだ?
普通に魔法と文字で書かれている所に行けばいいのか?
「…………あっ、すんません」
「はい、いかがいたしましたか?」
近くを通った管理職っぽい女性の眼鏡っ娘に声をかけると、振り向いてくれた。
魔法の歴史について書かれている本はあるのか聞くと、「少々お待ちください、今お調べしてきます」と、カウンターへと向かう。
「お待たせ致しました」
はやっ、数秒しか待ってないぞ。
「少しになりますが、お取り扱いあります。ご案内致しますね」
言われた通り着いていくと、階段を上り、魔法の本がびっしり置かれている棚の前で立ち止まった。
棚を見上げていると、上の方に見つけたらしく手を伸ばす。だが、届かない。
頑張って背伸びをしているけど、届いていない。
「……なぁ、どれ」
「上から二段目にある本です。”魔法の始まり”と書かれている本が、ここで唯一取り扱っております、魔法の歴史本です」
あぁ、あれか。
背伸びをして手を伸ばすと、届いた。
引き抜き、表紙を見てみる。
真ん中に魔術師みたいな黒いローブを身に着けている男性が描かれ、竜が男性を囲うように上へ立ち上っている。
「やっぱり、竜魔法が始まりなんだな」
何も考えずに呟くと、女性が眼鏡をかけ直し、何故か見つめてきた。
「え、な、なに?」
「今、竜魔法と口にしましたか?」
「え、う、うん」
頷くと、より一層目を輝かせてしまった。
え、えぇ、何だろう。
なんか、今日は困惑の一日だなぁ。
頭の処理が追い付かない。
「竜魔法、ふふっ、ふふふふっ。竜魔法について知っている方が来てくださいました……」
や、やべぇ、なんか、地雷、ふ、んだ?
「竜魔法は、美しいのですよ。竜魔法について知りたい模様、仕方がありません。この私が、語ってあげましょう!!」
「あっ、結構です」
「さぁさぁ、遠慮はいりません。ちょうど私、もう少しで上がりの時間なんですよ。軽食を準備しますので、ぜひ竜魔法について語り合いましょう!!」
………………………………何でこうなるんだよぉぉぉおおおおお!!!
※
こいつの名前は、アシャーというらしい。
魔法について知りたいただのバイト。
今は、竜魔法について調べるのがブームらしい。
だが、星屑の図書館には一冊しかなく落胆。
知っている人も少なく、今は普通にバイトをしていたところで、俺が現れてしまったみたい。
めんどくさい奴しかこの世界にはいないのか。
本当に勘弁してくれよ、俺は平和な人生を送りたいだけなんだってばぁ……。
と、文句を心のうちに秘めて着いて行くと、外に出た。
裏まで周り「少し待っていてください」と言われ、一人残される。
ここで俺がいなくなってもいいんじゃないかと考えるが、どっちにしろ逃げられないと直感が働き、大人しく待つ。
はぁぁぁぁ、なんでだよ。
俺、なんでこんなにも巻き込まれないといけないんだよ。
これが主人公、主人公なんだな。
仕方がない、こればかりは、仕方がない。
「はぁぁぁぁぁ…………っ!?」
村人Zになりたい。
嘆きながら壁に寄りかかると、なんか、え?
う、後ろから、足を掴まれた?
下を向くと、両足首を、後ろから白い手で掴まれ動かせない状態に。
な、なに? こ、こわい!?!?!?
「~~~~~~~!?!? あ、あれ?」
逃げようと足を動かすと、何もなかったかのように動いた。
目を閉じちまっていたから開けてみると、何もなくなっている。
え、幻覚?
手で足首に触れてみるけど、何も感じない。
やっぱり、きのっ――……
「――――っ、気配?」
隣を見ると、影から二人、駆け寄って――――…………
「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!」
はっ、発砲!?!?!?
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