第328話 無理やり付き合わされてこの仕打ちはマジでふざけんな

 無理やり外に連れ出され、訓練場所に。


「入れ」

「ドワッ!!」


 フィールドのシールドの中に無理やり入れ込まれた……。


 な、なんだよ、俺、リヒトに治してもらったとはいえ、昨日結構な傷を付けられたんだが?


 …………おいおい。

 普通、物語の主人公ってハーレムとかになるんじゃないのか?

 もっと、優遇されるべき存在じゃないのか?


 まぁ、ハーレムより金だけど。

 女より、金。金が俺を生成している。


「いってぇ…………ん?」


 上を向くと、額に突き付けられるのは銃口。

 …………え?


「――――行くぞ」


 え?


 ――――――――パンッ!


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


「カガミヤさん!!」

「カガミヤ!!」


 ・・・・・・・・・・・・・・。


「…………死んだ」

「咄嗟に水魔法を銃口と額の間に滑り込ませ、包んだのか。上出来だ」

「ふざけんなよ?」


 アルカとリヒトの声で我に返る事が出来た。


「次、行くぞ」

「待て待て待て!! このまま戦闘を続けるつもりっ――――」


 ――――パンッ


「どわっ!?」

「炎属性の基本魔法のみ、魔法の使用を許可する。早く放て」


 ふっっっっざけんなよ!?


 ――――パンッ! パンッ! パンッ!!


「くっそがぁ!! flameフレイム


 炎属性魔法を右手に集中、引き金を引くのとほぼ同時に放った。

 ぶつかり合い、破裂。爆発が起こり、爆風が吹き荒れた。


「――――っ!」


 顔を覆い隠していると、腕を顔まで持っていき、隠しながら突っ込んでくるソフィア。


 接近戦に持ち込むつもりか!?


 flameフレイムを右手に灯し、放つ。

 だが、簡単に避けられた。


 クッソ、縛りがマジで厄介だ!!


「っ!?」


 地面を強く蹴り、ソフィアが一瞬で距離を詰めて来る。

 右手に持っている拳銃の銃口を額に向けた。


 すぐにパンッと発砲音。顔を横にそらすが、額に鋭い痛み。

 だが、気にする余裕はない。ソフィアが次の動きに移行した。


 拳銃を前に繰り出す。もう、避けられる距離じゃねぇ。

 右足を蹴り上げるが、ひらりと躱される。


「はっ!?」


 視界から消えっ――――足元か!!

 上に飛び回避、足払いを仕掛けようとしたらしい。


 避けられたのはいい、避け方がまずかった。

 銃口――――空中じゃ避けられねぇ!!


 ――――パンッ!!


 発砲音、俺の顔めがけて迫りくる弾。

 避けられねぇ!!



 ――――ドクンッ



 心臓が、跳ね上がる。

 体が熱くなる。


 右手に、魔力が集中する。

 意識している訳じゃねぇ。これ、アクアと殺りあった時の感覚に似ている。


 弾はもう当たる。なのに、頭は冷静だ。


「――――flameフレイム


 再度唱えると、濃い炎が灯され、弾が吸い込まれるように当たる。

 だが、爆発はしなかった。


 包み込み、吸収。そのまま地面に落ちた。

 同時に、俺も足を突ける。


「今のは、なんだ?」

「弾を吸収したな。だが、まだだぞ」


 ――――っ?!


「まだ続くんかい!!」


 右足を軸に、回し蹴り。咄嗟に後ろに飛ぶが、視界に入るのは銃口。


 ――――パンッ!!


flameフレイム!!」


 前にflameフレイムを放ち、弾を受け止める。

 上手く吸収し弾を落す。消さずに、flameフレイムをソフィアへと勢いよく放った。


「――――行け」


 そのままソフィアを包み込みやがれ!!


「甘いぞ」


 っ、左手に持っている拳銃をすぐさま俺に向け、発砲。

 すぐに避ける事が出来たが、意識が一瞬逸れる。耳に、またしても発砲音。


「――――なんだと?」


 放ったflameフレイムを、一発で弾きやがった?


「まさか、最初の一発は、俺の意識を逸らすため?」


 やっと、ソフィアが動きを止めた。

 深緑色の瞳を向けてくる。


「魔法を放つ時、何を意識するか。それは、集中力、意識、イメージなどだと聞いたことがある。途中で威力なども変更可能。それなのなら、意識を逸らせば威力は弱まる。コンマ数秒、俺にはそれだけあれば十分だ」


 ………………くっそ、かっこいいなぁ!!!


 身長と口の悪さが難点だが、顔は整ってっし、強い。

 ギャップもあるし、こいつ、案外もてるんじゃないか?


「次、行くぞ」

「この性格が無ければぁな~」

「?? 行くぞ」


 ――――ダンッ!!


 っ?! 一瞬!! 目の前まで!!


 眼前に銃口を突きつけて来る。

 その場にしゃがみかいっ――――


「あっ──……」


 目の前に、銃口が……。


「――――バンッ」


 ――――――――……………………。


「…………う、たないのか?」

「撃ったらおめぇは死ぬ。今回のは避けられんだろう」


 しゃがんだ先には、もう一つの銃口。

 右手で構え、俺がしゃがむことを見越し左手に持っていた拳銃も構えていたらしい。


 こいつの言う通り、撃たれていたら流石に俺は避けられなかった。

 距離が近すぎるからflameフレイムを出す事も出来なかっただろう。


「おめぇは飲み込みが早い」

「…………どーも」


 まぁ、器用だとは自分でも思ってる。器用貧乏ってやつだ。


「追い込めば追い込むほど強くなる。おめぇはそういうタイプの人間だ」

「……………………つまり?」

「休みなく、模擬戦をやり続ける」

「待って??」

「待たん」


 えっ――――


 ――――パンッ!!


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