第50話 誰が作っていようが関係ないか
洞窟を進み続けるも、何も出てこない。
中ボスどころか、雑魚すらも。
それにこの洞窟……、どんだけ長いんだよ。
もう中に入って数十分は経っているはず。これって、何かおかしくないか?
「なぁ、カガミヤ」
「何だ?」
「なんか、おかしくないか? 何も出てこないにもかかわらず、道はずっと真っすぐ続いている。分かれ道すらない。普通じゃない気がするぞ」
「私もアルカと同じ。何か、変な感じがします」
二人も違和感には気づいていたのか。
無限ループに巻き込まれた感覚なんだよな、これ。
足を止めてみるも何も変わらない。トラップか何かあってもいいと思うんだけどなぁ。
「もしかしたら、このダンジョンという建物に仕掛けがあるのかもしれないぞ」
「そんなダンジョンあるのか?」
「あぁ。雑魚モンスターが出てこない分、ダンジョンに仕掛けを施し冒険者を迷わせたというっ報告が過去に上がっているんだ」
「つまり、このダンジョンのカラクリを解除しないと前には進めないという事か」
「そういう事だ」
めんどくさっ。けど、仕方がないか……。
「お前らは、今まで歩いた中で気になる物とかあったか?」
「俺は特に。そもそも、足元しか照らされていないこの状況で、他のもんに目を向けるのは難しくないか?」
「それはつまり、足元以外にも照らしてほしいという遠回しな要求かな? アルカ君」
「そんなことないぞ!! で、です!」
なに焦ってやがる、その反応だけで察するぞ。
くっそ、魔力の制御と節約を意識し過ぎたか。
「なら、もっと周りを照らせるように炎を大きくしてやるよ、おら」
「なんか、悪い」
「まったくだ」
炎を大きくするようにイメージすると、簡単に辺りを見渡せるくらい明るくなった。
「あ、明るくなった!! ありがとうな、カガミヤ!!」
「これで周りを見る事が出来ます、ありがとうございます、カガミヤさん!!」
「喜んでもらえて良かったよ。今のうちにこのダンジョンのカラクリを解除しようか」
と、口で言うが…………。手がかり、何も見つけられないんだよなぁ。
Bランクだからと言って、カラクリもモンスターと同じで簡単に解除出来るとかでは無いのか。
…………周りを見回しても、何も無い。
目印をくれよ。炎を大きくして周りを見やすくした意味ねぇじゃん。
「なぁ、このダンジョンの壁って壊せないのか?」
「意外な発想で驚いたわ」
でも、さすがに壊せないんじゃないか?
だって、俺が初めて来た時のダンジョンは、コントロールの出来ない
「アルカよ、仮に壁を壊せたからと言って、何かあるのか?」
「そこから次の部屋に続くドアが出てくるかもしれねぇじゃねぇか!!」
「「それはない」」
リヒトと言葉がかぶったところで、再度周りを見渡してみる。
ついでに上も。さっきから雫が落ちてきていて気が散るんだよなぁ。どこから降ってきているんだよ。
「――――あ?」
天井、何か書いてある。なんだあれ。
「どうしたんだ?」
「上、何か書いてないか?」
俺の言葉に二人は上を見上げる。
リヒトは眉を顰め唸り、アルカは「おー」と、よくわからん声を出している。それはどういう感情の声だよ。
「あれは、このダンジョンを操っている魔法陣かもしれないな」
「操っている? もしかして、このダンジョンも人間が作りだしているって事か?」
何かを作る時は、必ず人の手が必要になる。
何もない所から突如として現れる訳ではないが………。
そうなると、誰が作っているんだ? ギルドの管理をしている管理者の一人、アマリアが作っているとかか?
管理者ってもう俺の中では、人間離れしている外道集団という認識だから、アマリアが作っていたとしても驚かない。
「管理者の一人が作っていると、風の噂で聞いたことがあるぞ」
「アマリアか?」
「そこまではわからん。風の噂程度だからな、聞いたの」
まぁ、そうか。
「まぁ、今は誰が作ったとかどうでもいい。あの魔法陣を破壊してみるか。何かしら反応はあるだろ」
「おう!!」
んじゃ、威力を間違えないように気を付けますか。
「――――
ちょうど手に持っていた炎を利用し、上に張り付けられている魔法陣を放ってみた。
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