第26話 前世のその後

ローレライの歌が聞こえる


抱きかかえられ時救われたと思った

黒い海の白い波が規則的に奏でてるその音色を聴きながら上をただぼんやりと見上げていた

球体が浮かんでいるなと思った


「残して死んでしまった。無念だった。ただ悲しかった。」


女神が必死に私を助けようとしている

女神なのかハイヤーセルフなのか高次の私自身なのか、それはわからない


月に向けて必死に唱えている

月と私が光で繋がれた

唱えるほどに光が強くなっていく

身体が心が魂が神秘をまざまざと感じてる


私が私に掛けた呪詛が解かれていくのが解った

癒されている事、許させていると同時に許しているのも解った


愛しさで溢れるようなその心、母性を抱かれているその腕から体感した

慈愛の匂いがした


全てが終わった後彼女は微笑んだ




私と彼女はずいぶん長い間コミュニケーションを取ったと思う

なぜ断定形ではないのかと言うとはっきり覚えていないのだ

脳内に直接インプットしてくれるから私の一部として取り込まれた

私のボキャブラリーの中から近いニュアンスのものを翻訳再生してくれて、さらにそれをまるごと私にくれた

もはや彼女の概念を私のものとしてアップデートまでしてくれた


彼女と出会う前と後の私ははっきりと違うのだ

しかしもはやその衝撃すらもなくそれがスタンダードになった私がここにいる



夢か現実か、はたまたどの次元で起きた出来事なのか?そんなのはどうだっていい


ただ今強く思う事は

「自分を愛せないような奴が誰かを愛する事なんてできない」

0が1にならなきゃないも始まらないように

0がなにをしても虚無だ

それだけが今この瞬間脳裏に焼きついている


私は私を愛してる世界で1番


メロウな空間に浸って

私は今とてもいい気分なの

誰にも邪魔させない、私の世界で

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Who is she 仁瓶 龍雅 @akira_97

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