もどかしい思い

風と空

第1話 願い

 綺麗な秋の空


 どこまでも広くどこまでも高く

 気持ちを連れて行く。


 心はどうすれば晴れるのだろう


 君は言った。


「笑えば良い事あるからさ。笑顔でいようよ」


 君は常に笑顔だったね。


 どれだけ君の笑顔に助けられてきただろう。


 会いたいという思いが募る




 あれは一瞬の出来事だった。


 なにも変哲の無い道


 さっきまで一緒に笑い合っていた君が


 物言わぬ人形の様に僕の隣りに座っていたのは。


 

 

 一瞬の判断ミス



 助手席の君の前に虚しく開くエアバック


 君は車の天井と電柱に挟まれていた。


 僕は狂った様に君を救い出そうとしたね。



 

 あの事件から、心から笑うなんてできやしない。


 願いは一つだ。


 僕を叱ってくれ。僕を殴ってくれ。僕を詰ってくれ。


 …… 頼むから










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

もどかしい思い 風と空 @ron115

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説