ハロウィン
高岩 沙由
再会
自分ちの玄関にかぼちゃをくりぬいて蝋燭を灯したジャック・オー・ランタンを置くと、一気にハロウィンの雰囲気になってくる。
空を見上げれば、星が瞬く真っ暗な空。
地上をみれば、町の家の玄関にはジャック・オー・ランタンが飾られている。
子供たちはお化けの恰好をし手に籠を持ちながらジャック・オー・ランタンが飾られている家の住人と会話している。
「ひさしぶり」
声を掛けられて振り向けば、懐かしい友の顔が見えた。
「ひさしぶり。1年ぶりだな」
「この日にしか会えない奴がいるからな」
友が笑い声をあげている。
「この1年、どうだった?」
友に聞かれて言葉に詰まる。
「よくもなく、悪くもなく。まぁ、現状維持ってところだな」
僕は苦笑いしながら友に返事をする。
「また話せて嬉しいよ。じゃあ、また」
友はそれだけ言うとジャック・オー・ランタンが飾られている町へと歩いていく。
「今日はハロウィン、死者が帰ってくる日」
友は5年前に事故でこの世からいなくなった。
ただ、毎年ハロウィンにはこうやって姿を見せてくれる。
「また来年会おう、友よ」
僕はそう呟くと、声をかけてきた子供たちに、手に持っているお菓子を籠に入れた。
ハロウィン 高岩 沙由 @umitonya
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