詩 黄昏の世界のドラゴン

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 暮れる世界に佇む


 一匹の竜は


 夕日に向かって


 寂しげに鳴いている


 雨が降って


 陽がかげって


 朝が去って


 夜が来るよりも早く


 鱗の上に影が落ちる


「世界の色を教えてほしい」


 光が遠ざかってからが 長すぎて


 どんな景色だったか


 もう 忘れてしまったから


 悲しみに蓋をして


 思い出を封印して


 空へ逃げる


 大切なものは全部


 地面の上においてあるから


 目が届かないところにいこう


――自由になりたい


――しがらみに縛られることなく


「何もなかった昔のように」


「ただ無心に、空を飛べたなら」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詩 黄昏の世界のドラゴン 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ