第78話 ヒロイン視点

野崎君が帰った後、勉強机に座って肘をついて色々と考える。


「なんか、色々な情報があったし。本当なら、小説の感想を伝えたかったのに。でも、恥ずかしくなって帰しちゃった」


未公開の小説を読ましてもらったけど、どれも面白かった。


野崎君の小説は、主人公に嫌味がなくて素敵だなって思う。


優しくて臆病で、それでもやるときはやるみたいな……ていうか、野崎君じゃん。


本人は自覚してるのかな? まあ、その辺りはわからないけど。


とにかく、読んで嫌な気持ちにならないのが良いなって思う。


「あれだよね。今考えると、頼まれた下読みってやつは、これのことだよね? 渡されたデータを読んで、その感想を送れば良いってこと……緊張するなぁ」


私なんかが意見して良いのかな?


いや、素人の意見がほしいってことはわかってるんだけど。


「何より……アキラさんが女の人だったなんて」


しかも、すっごい美人だって言ってた。


野崎君は、興味なさそうな感じだったけど……相手はどうなんだろう?


「まあ、高校生を相手にしないとは思うけど……万が一ってこともあるよね?」


野崎君は耐性がなさそうだし、師匠って人に言われたら……危ないかも。


高校生男子って、年上の女性に弱いって聞いたことあるし。


「これは、私が守ってあげないと……! そ、そのためには、コスプレも頑張るし……めちゃくちゃ恥ずいけど。ど、とんな格好をさせられるのかな?でも、行かないって選択肢はないし」


確かに日当一万円は魅力的だし、野崎君と遊ぶお金は欲しい。


でも、それ以上にアキラさんという人が気になる。


コスプレをすれば、会えるってことだもんね?


「むぅ……ま、まあ? 水着に比べればなんてことないよね?」


あっ、そうだ……水着も買いに行かないと。


そのバイトをすれば、プールにも行けるし、水着を買うお金もできる。


「ラブコメイベントと称して、野崎君に迫っていかないと……今、危機感を感じたし」


正直言って、野崎君は学校では女子に人気がない。


それは見た目や性格が悪いわけではなく、ただ知らないって意味で。


多分、格好をちゃんとして、お話さえすれば好きって子は出てくると思う。


あと、何でも……才能があるってことに惹かれる子もいるはず。


「今のところ、私だけが知ってるから安心してた部分はある。でも……そういう場所では、野崎君の良さをわかる人もいるってことだよね?」


むしろ、私なんかよりも話が合ったり……可愛い女の子だっているはず。


「……が、頑張らないと」


恥ずかしいとか言ってる場合じゃないし。


だって……初めて出来た、好きな人だもん。












 ~あとがき~


 皆さま、 本作品を読んでくださり、誠にありがとうございます。


 作者のおとらです。


 さて……申し訳ありませんが、宣伝をさせてください。


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