エピローグ


エピローグ



「はあ~。面白かった。すげえなこの妖精図鑑」


「うん、スゴい」


「オレたちが知らない妖精もいっぱいいたな」


「うん、いっぱいいた」


「ん?」


「どうしたの? ヒョウ兄ちゃん」


「これ……最後のページ」


「何?」


 ヒョウが開いている最後のページをクロノが覗き込んだ。


 そこには制作者の名前が書かれていた。


「制作者、妖精王……って」


「妖精王? ねえ、パパに聞いてみようよ」


 二人は部屋を飛び出して父親の元へ急いだ。


「パパ……パパァ……」


「なんだ二人とも慌てて」


 王室で王座に座っていた父親は二人が手にしている本を見て目を見開いた。


「まさかお前たち、その妖精図鑑を見つけたのか?」


「うん! ねえこれパパが作ったの?」


「それは王族に古くから代々伝わる図鑑なんだ。子どもが産まれると同時に姿を消す。そしてその子が成長し、その妖精図鑑が見えるようになれば妖精として一人前だとみなされ羽根が生えてくるんだ」


「じゃあオレたちも……」


「二人ともよかったな。読み終わったのなら明日にでも立派な羽根が生えてくるだろう」


「やった!」


「オレたちもやっと一人前の妖精だ!」


「ハッハッハ。息子たちよ。私も嬉しいぞ」


 妖精王である父親は二人の息子をギュッと強く抱きしめた。


「パパ」

「父ちゃん」


「はは、さあ、早くお母さんに知らせるといい。きっと母さんも喜ぶぞ」


「うん!」

「わかった! 行くぞ」


 二人は嬉しそうに、そして誇らしげに母親の元へと走り去った。



          完




 妖精図鑑 最後のページより

 『この妖精図鑑の制作にご協力くださったたくさんの方々に心より感謝申し上げることとする


                初代妖精王より』




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妖精図鑑 クロノヒョウ @kurono-hyo

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